
捕手の中嶋(右)からウイニングボールを受け取る佐藤
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1995年8月26日だ。
生まれて初めてのガッツポーズだった。近鉄戦(藤井寺)に先発した
オリックス・
佐藤義則は9回二死までヒットも得点も許さない。打席にはスチーブンス。追い込んでから何を投げるか。
中嶋聡のサインに2度首を振って、決め球に佐藤が選んだのはヨシボール。中指と人さし指が開かず、フォークが投げられなかった佐藤が親指と人さし指で挟んで投げた独自のボールがヨシボールだ。この得意の球種を投げ込み、スチーブンスを空振り三振に斬って取った佐藤は両こぶしを突き上げた。史上61人目(72回目)のノーヒットノーラン。40歳11カ月での達成は当時の最年長記録でもあった。
佐藤自身、ノーヒットノーランは初めての経験だった。「ピッチャーとして、一度はやってみたい気持ちはありました。本当にうれしい」。そう言う佐藤の瞳にはうっすらと涙も見られた。
試合後には、一塁ベンチ上に集まったファンにグラブとウイニングボールをポンと投げ入れた。「もらった人が喜んでくれたらいいんじゃない」。一生ものの記念品を惜しげもなくファンにプレゼントしたのも、佐藤らしかった。
写真=BBM