
185安打の新記録を達成したイチロー(左)。これまでの記録保持者・新井コーチと握手
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1994年9月9日だ。
この日、行われた近鉄戦(藤井寺)で
オリックスのイチローが130試合制のシーズン最多安打を更新した。すい星のごとく現れ、開幕から安打を量産してきた3年目のイチロー。87年に
新井宏昌(近鉄)が記録した184安打に王手をかけたが、8日のダイエー戦(GS神戸)では5打席ノーヒットに終わっていた。しかし、この年、2試合連続無安打がないイチロー。翌9日の試合で2安打し、113試合目で一気にクリアした。
実は試合前、記録保持者の新井打撃コーチが「俺が新記録を作ったときはなかなかヒットが出ず、3試合足踏みした。そんなしんどい思いは一度だけにして、今日、打て」とゲキを飛ばしていた。「じっと見守ってくれて、気付いたらアドバイスしてくれる」とイチローも信頼する同コーチ。「6月末に打率4割に乗せたときに、僕の記録は抜かれると思いましたよ。でも、同じときに、同じユニフォームを着ている選手がやってくれて良かったと思いますよ。ずっと注目されて、安打のペースが落ちないんだから、本当にすごい選手ですよ」と手放しで称賛した。
シーズン200安打への期待も、いよいよ高まってきた。
写真=BBM