正捕手として活躍していた選手たちにとって、今季は試練のシーズンになっている。捕手は配球術などリード面で正解がないから難しい。また、守備で大きな負担がかかるため歯車が狂うと打撃にも影響を及ぼす。故障で戦線離脱すると、1つしかポジションがないためレギュラーを奪い返すのも容易ではない。以下の選手たちは日本を代表する捕手として、もう一度輝きを取り戻してほしい。
※通算成績は昨季までの数字 
ケガもあったが、今季はここまで3試合の出場と苦しむ小林
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小林誠司(
巨人)
※通算成績611試合出場、打率.219、14本塁打、134打点
2016年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマーク。
ソフトバンクの
甲斐拓也と双璧をなす強肩で投手陣から絶大な信頼を寄せられているが、その立場が揺らいでいる。
原辰徳監督が3度目の監督に就任した昨年は92試合出場と4年ぶりに100試合に届かず。今季は開幕3戦目の6月21日の
阪神戦(東京ドーム)で死球を受けて左尺骨骨折で登録抹消。リハビリを経て今月19日に3カ月ぶりに一軍昇格した。
大城卓三が台頭し、ベテランの
炭谷銀仁朗も控える中、正捕手奪回なるか。
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今季は攻守に精彩を欠いている森。チーム低迷の責任を一身に背負う
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森友哉(
西武)
※通算成績595試合出場、打率.298、74本塁打、332打点
球界屈指の「打てる捕手」。2018年に捕手でチーム最多の81試合マスクをかぶりリーグ優勝に貢献すると、昨年は打率.329、23本塁打、105打点といずれもキャリアハイの数字で、捕手では史上4人目の首位打者を獲得。得点圏打率.411とチャンスに強く、リーグ連覇の立役者としてパ・リーグMVPに選出された。ところが、今季はマスクをかぶった試合は投手陣が打ち込まれる場面が目立ち、ベンチで涙を流す姿も。打撃も本来の状態にはほど遠い。「外野コンバート論」もメディアで報じられる中、この苦しみを乗り越えられるか。
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DeNAに移籍して3年目の今季、出場機会は激減した伊藤
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伊藤光(DeNA)
※通算成績848試合出場、打率.238、26本塁打、216打点
オリックスでレギュラー捕手を務め、2018年途中にDeNAへトレード移籍。昨年は左手薬指剥離骨折をして戦線離脱した時期を除き、正捕手として84試合に出場して打率.254、自己最多の8本塁打をマークした。2位でクライマックスシリーズ進出に貢献し、同年オフに球団最長の4年契約を結んだが、今季は14試合の出場のみ。7月18日の巨人戦(横浜)で
ラミレス監督からリード面の問題点を指摘されて途中交代すると、翌19日に登録抹消。ファーム暮らしが続いている。
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2015年のリーグ優勝時には主戦捕手だった中村だが……
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中村悠平(
ヤクルト)
通算成績925試合出場、打率.239、29本塁打、249打点
2015年に正捕手に定着し、136試合出場で14年ぶりのリーグ優勝に貢献。ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を獲得し、侍ジャパンにも選出された。当時25歳と将来を嘱望されたが、その後はチームの低迷とともにリード面の課題を指摘されて試合途中での交代が目立つ。近年は故障に悩まされ、今季も開幕戦当日の練習中に上半身のコンディション不良を訴えて戦線離脱。リハビリを経て8月20日に一軍復帰したが、9月9日の
広島戦(マツダ広島)で走者とのクロスプレーにより負傷交代し、再び登録抹消と試練が続いている。
写真=BBM