2008年の巨人は18試合で追いついた

西武は奇跡を起こすのか
10月9日、コロナ禍に苦しむ2位・
ロッテが首位・
ソフトバンクに勝ち、ついにゲーム差なしとなった。残り25試合前後を考えれば、この2つにパ・リーグの優勝が絞られたと言ってもいいのだが、実際、数字的にほかの可能性が消えたわけではない。
3位の
楽天が6.5ゲーム、4位の西武が7ゲーム差。
特に勢いがついてきた西武だ。10月6日、ソフトバンク戦(メットライフ)での打のヒーロー、西武・
森友哉が力強く言った。
「正直、まだ、あきらめていない。残り29試合、全部勝つくらいの気持ちで試合したい」
実際、西武は7日勝利、8日引き分け、9日勝利。森の言葉どおりではないが、まずは負けていない。
昨年まで2連覇、勝ち方を知っているチームだけにソフトバンク、ロッテにとっては不気味な存在であろう。
もちろん、この時期の7ゲームは大きい。
7連勝、7連敗で7試合で消える、わけではなく、たとえばソフトバンクが7連敗しても、首位はロッテになっているはずだ。西武が7連勝しても、まだ3ゲーム差程度は残っているだろう。
幾つか過去の逆転劇を振り返ってみる。
よく大逆転の例に挙げられるのが、
巨人が首位との11.5差を逆転した、いわゆる「メークドラマ」だ。7月6日、東京ドームで
阪神に敗れて開いた11.5ゲーム差は最終戦で逆転したわけではなく、最初に首位に立ったのは8月20日、39試合目の勝利の後だった。
7ゲームで考えれば、30試合目。この例では、現在の西武は残り26試合だからジ・エンドになる。
ただ、もう一例、13ゲーム差をつけられた阪神を逆転した、2008年、これも巨人優勝時の例がある。
このとき8月30日の7ゲームを縮め、首位に並んだのは9月21日、18試合目だ。
もちろん、数字にはマジックがあり、この年、巨人が最初に7ゲーム差にしたのが、8月12日。そこからゲーム差では一進一退が続き、30日までは12試合を挟んでいる。
過去の例から考えれば不可能ではないが難しい、となる。
現在の3チームの残りの直接対戦と、対戦成績は以下だ。
ソフトバンクが対西武7戦(これまで8勝8敗1分)、対ロッテ8戦(4勝11敗1分)。
ロッテが対西武4戦(8勝12敗)、対ソフトバンク8戦(上の逆)。
実は得意、苦手が今季のパの特徴で、
ソフトバンクはロッテに負け越し、ロッテは西武と楽天に負け越し(6勝12敗)、西武は
日本ハム(6勝12敗)、
オリックス(9勝11敗1分)に負け越している。
要はすべてに勝ち越す圧倒的強さを見せているチームがいないということになる。
その中で、上位2チームが抜け出したのは、対オリックスの貯金が大きく、ソフトバンクが14勝5敗2分、ロッテが16勝3敗1分だった。しかし、このオリックスが徐々に戦力バランスが整い始め、直近の戦いを見ても、必ずしもカモではなくなってきた。
西武・
辻発彦監督は簡単にあきらめる人ではない。
パは、もう一波乱あると見るが、いかがか。