
今季、ヤクルトは山田(写真)、小川、石山がFA権を獲得した
今シーズン、ヤクルトの
山田哲人がFA権を取得。同じくヤクルトの
小川泰弘と
石山泰稚もFA権を取得しており、同時に3人がFA移籍する可能性もある。では、過去に3人もの選手が一挙にFA移籍した例はあるのだろうか?
FA流出が目立つ西武
FA制度がスタートした1993年から2019年までで、ひとつのチームから複数人流出した例は以下のとおり。
※海外移籍も含む ●1994年
西武……
工藤公康(⇒ダイエー)、
石毛宏典(⇒ダイエー)
●2006年
日本ハム……
小笠原道大(⇒
巨人)、
岡島秀樹(⇒レッドソックス)
●2007年
ロッテ……
小林雅英(⇒インディアンス)、
薮田安彦(⇒ロイヤルズ)
広島……
黒田博樹(⇒ドジャース)、
新井貴浩(⇒
阪神)
●2008年
中日……
川上憲伸(⇒ブレーブス)、
中村紀洋(⇒
楽天)
●2010年
西武……
細川亨(⇒
ソフトバンク)、
土肥義弘(⇒ランカスター・バーンストーマーズ)
日本ハム……
建山義紀(⇒レンジャーズ)、
森本稀哲(⇒横浜)
●2011年
西武……
許銘傑(⇒
オリックス)、
帆足和幸(⇒ソフトバンク)
巨人……
鶴岡一成(⇒
DeNA)、
サブロー(⇒ロッテ)
ソフトバンク……
和田毅(⇒オリオールズ)、
川崎宗則(⇒マリナーズ)、
杉内俊哉(⇒巨人)
●2012年
オリックス……
日高剛(⇒阪神)、
寺原隼人(⇒ソフトバンク)
●2013年
西武……
片岡治大(⇒巨人)、
涌井秀章(⇒ロッテ)
●2014年
日本ハム……
大引啓次(⇒ヤクルト)、
小谷野栄一(⇒オリックス)
●2017年
日本ハム……
大野奨太(⇒中日)、
増井浩俊(⇒オリックス)
●2018年
西武……
炭谷銀仁朗(⇒巨人)、
浅村栄斗(⇒楽天)

18年は西武から浅村(写真)、炭谷がFA権を行使して移籍した
ひとつのチームから複数人流出したのは全部で15例。このうち14例は2選手の移籍、2011年のソフトバンクは3人を放出している。今シーズン終了後、ヤクルトから3人同時にFA移籍となれば、ソフトバンクに続いて2例目となる。しかし、これまで3選手が「国内移籍」となったケースはない。もしヤクルトの山田、小川、石山の3人が国内チームへとFA移籍した場合は史上初となる。いずれも主力選手のため、ヤクルトの戦力低下は必至だろう。
移籍先が全て国内チームだったのは8例あり、西武が4回とダントツの数字となっている。西武はFA制度がスタートした翌年の1994年に、工藤と石毛のレジェンド2人がダイエーにFA移籍するという驚きの展開が起こった。また、2013年は片岡と涌井、2018年は炭谷と浅村と、相次いでレギュラークラスが同時にチームを去っている。ここまでくると西武のFA流出劇はもはや伝統だ。
大量獲得はやはり巨人

16年オフに巨人は山口(写真)を含めて3選手をFAで獲得した
次は、流出ではなく「1チームに最も多くFA加入した人数」を調べてみた。その結果、複数人が加入した例は以下のようになった。
●1994年
ダイエー……工藤公康、石毛宏典
巨人……
川口和久、
広沢克己 ●1999年
巨人……工藤公康、
江藤智 ●2005年
巨人……
野口茂樹、
豊田清 ●2006年
巨人……小笠原道大、
門倉健 ●2010年
阪神……
藤井彰人、
小林宏之 ●2011年
巨人……
村田修一、杉内俊哉
DeNA……鶴岡一成、
小池正晃 ●2013
ソフトバンク……
中田賢一、
鶴岡慎也 巨人……
大竹寛、片岡治大
●2014年
ヤクルト……大引啓次、
成瀬善久 巨人……
相川亮二、
金城龍彦 ●2016
巨人……
山口俊、
森福允彦、
陽岱鋼 ●2018
巨人……炭谷銀仁朗、
丸佳浩 ●2019
ロッテ……
美馬学、
福田秀平 やはりというべきか、1シーズンに最も多くFA選手を獲得しているのは巨人。2016年に山口、森福、陽と3人を同時に獲得している。また、FA選手を複数人獲得したシーズンも過去9度と12球団で最多。今季FA権を獲得したヤクルトの3人は、打線の中心となる山田、先発の小川、リリーフ陣の戦力底上げになる石山と、今の巨人にばっちりハマる選手(特に山田は手薄な二塁が守れるのが大きい)のため、巨人が大攻勢に出る可能性もあるだろう。
果たして1球団から3人同時という史上最多となる流出は起こるのか。また、毎年のようにFA市場で存在感を発揮する巨人がどんな動きを見せるのか、今から注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM