一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 メジャー監督もびっくり。「なぜ主砲を3人も出すんだ」
今回は『1972年4月3日号』。定価は100円。
1971年に続き、2年連続でアリゾナ州の「カクタス・リーグ」に参加していたロッテだが、ナ・リーグ西地区最下位のサンディエゴ・パドレスに6対3、8対0と連敗。
この際、パドレスのゴーメッツ監督が、
「昨年、うちとオープン戦をしたときは、エトー(
江藤慎一)、エノモト(
榎本喜八)、アルトロ(ロペス)とパワーヒッターがいて打ちまくっていたのに、なんで今年はいないんだ」
と不思議そうな顔で話していた。前年ユマでの試合では、この3人が打ちまくってロッテが勝利していたからだ。
彼らがトレードされたと聞くと、
「一度に3人の主砲を放出するなんて想像もできないが、大リーグも顔負けのスケールだね」
と感心。
この人は66年にドジャースのコーチとして来日経験があったので、
「もし来年、ナガシマ(
長嶋茂雄)、ハリモト(
張本勲)がトレードになるなら教えてくれ。うちは万年最下位から優勝できること間違いないよ」
と話した。もちろん、日本マスコミ向けのリップサービスだろうが、怒ったのがロッテの
大沢啓二監督だった。
「あいつはパドレスの監督、俺はロッテの監督だ。ひと様のチームのことに余計な口出しをするなと言っておけ」
と通訳に向かって、真っ赤な顔で怒っていた。
さらにロッテナインに対しても、
「要は気力だ。お前らがたるんどるから惨敗するんだ。早く大リーグに勝たんことには顔が立たん」
と喝。
では、また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM