準優勝も強烈な印象

創価大の左腕・鈴木勇斗は関東地区大学選手権で自己最速を3キロ更新する152キロを計測。2021年のドラフト候補に浮上した
いくら練習して、手応えを感じたとしても、実戦の場でしか本物の「自信」は得られない。
横浜市長杯争奪第16回関東地区大学野球選手権大会が11月9日から4日間、横浜スタジアムで行われた。
今大会で「2021年のドラフト候補」として急浮上したのは、創価大・鈴木勇斗投手(3年・鹿屋中央高)だ。
国際武道大との2回戦(11月10日)で3失点完投(8対3)。上武大との準決勝(同11日)では2番手として、6回一死満塁から救援。3回2/3を無安打に抑え、アウト11個のうち9奪三振と圧倒すると、自己最速を3キロ更新する152キロを計測している(6対3)。3連投となった桐蔭横浜大との決勝(同12日)では、4回3失点の敗戦投手(3対4)で準優勝に終わるも、強烈な印象を残した。
創価大・岸雅司監督は言った。
「正義を思い出した。圧巻だった」
ちょうど5年前。当時3年生の
田中正義(現
ソフトバンク)が、上武大との準決勝で5回途中からリリーフ。4回1/3で5者連続を含む11奪三振の力投を見せた。チームは敗退(2対3)したものの、最終学年を前に「ドラフト超目玉」を確実とした一戦であった。鈴木にも大きな可能性を感じたという。
「勇斗は成長した。リーグ戦でタイトルを獲得して、今回の関東でワンランクレベルが上がった。左で150キロ超。来年は騒がれるかもしれないですね」
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、明治神宮野球大会は中止。本来は同大会の上位2チームが本大会へ出場するが、今年は「関東No.1」止まり。つまり、その先はない。しかし、岸監督の位置づけは大きく違った。
「ここは関東ではない。神宮だと思っている。(レベル的にも)十分、全国ですよ。神宮のベスト8だ! と学生たちにも言ってきました。リーグ戦とは違い、優勝、2位チームが争う試合は、選手個々のレベルを上げてくれる。そういう選手を生む場であると思います」
ボルテージが上がる最高のステージでこそ、選手は育つ。そして、自信を得る。創価大は唯一、第1回大会から途絶えることなく、16年連続フル出場している。かつては、
八木智哉(元
中日ほか)、
小川泰弘(現
ヤクルト)、
石川柊太(現ソフトバンク)、田中らが同大会をステップとしてプ飛躍した。今大会の象徴は鈴木だった。桐蔭横浜大との決勝では相手の四番・
渡部健人(
西武1位)を、三振と二飛に抑え込んでいる。
全国舞台にはつながらなかったが、152キロサウスポーは、横浜で確かな足跡を残した。
文=岡本朋祐 写真=大賀章好