「大魔神」佐々木主浩のメジャー2年目。2001年は記録的なシーズンだった。イチローが入団したこの年、マリナーズはシーズン最多タイ記録の116勝をマーク。そのチームの守護神を務めた。 大魔神らしい存在感

4年間、マリナーズで抑えとして活躍した佐々木
開幕から好調だった。4月は15試合に登板し1敗13セーブ。前半戦は29セーブで、イチローとともに地元開催のオールスター戦に選出された。佐々木は4対1とリードした9回に救援し、3者凡退でセーブを手にしている。
シーズン161試合目のレンジャーズ戦では1対0の9回に登板し、最後はアレックス・
ロドリゲスを三振でチームは116勝。佐々木はリーグ2位の45セーブ目を手にした。中継ぎ陣にはアーサー・ローズ、ジェフ・ネルソンという左右の強力な投手がいたが、クローザーは佐々木。「締めくくりというのは、もう味方の攻撃がないという場面で抑えに出るわけです。中継ぎやセットアッパーとは違う。打たれることが許されないという点で、プレッシャーはケタ違いなんです」と自負を口にした。
ポストシーズンでは地区シリーズでインディアンスと対決。2勝2敗で最終第5戦。佐々木は3対1の9回に登場。3者凡退で勝ち抜きを決めた。このシリーズで佐々木は3試合で3回を投げて無失点と、完璧なリリーフ。続くリーグ優勝決定シリーズの相手は王者ヤンキース。本拠地で連敗を喫した後、ヤンキー・スタジアムでの第3戦は14対3と大勝。佐々木の出番はなかった。
第4戦。7回まで両チーム無得点の激戦。8回、マリナーズは
ブレット・ブーンの本塁打で1点を先制する。だがその裏、ローズがバーニー・ウィリアムズに一発を浴び同点とされた。1対1の9回、マウンドに上がった佐々木は一死後安打を許し、元
広島の
アルフォンソ・ソリアーノに右中間へサヨナラ2ランを浴びた。試合後、ショックを受けた佐々木は報道陣の前に姿を見せなかったと記憶している。
第5戦は3対12で大敗。佐々木に登板機会はなかった。レギュラーシーズンは栄光に包まれたが、ポストシーズンではヤンキースのカベを越えることができなかった。結局、佐々木は2003年までマリナーズでプレー。4年間で通算129セーブを記録。日本人メジャー・リーガーでは最多である。大魔神らしい存在感を示したのだった。(文中敬称略)
『週刊ベースボール』2020年11月23日号(11月11日発売)より
文=樋口浩一 写真=Getty Images