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自身4回目の日本一を狙う巨人・原監督
パ・リーグのCSで、リーグ1位の
ソフトバンクが2位の
ロッテを破り、4年連続で日本シリーズへの切符を手にした。ソフトバンクの
工藤公康監督は、過去に出場した4度すべてでチームを日本一に導いており、日本シリーズでの通算成績は21戦16勝4敗1分。勝率はなんと.800と非常に高い。そこで今回は、日本シリーズに出場した監督の「勝率」にフォーカスしてみた。
通算20戦以上では工藤監督がトップ
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日本シリーズで高勝率を誇るソフトバンク・工藤監督
1950年から2019年までの間、日本シリーズに出場した監督は全部で48人。複数回出場した監督もいれば、一度しか出場していない監督もいる。そのため、今回は「通算20戦以上」を経験している監督の、日本シリーズ勝率を調べてみた。その結果、勝率が高い順に以下のようになった。
●日本シリーズ通算20戦以上を経験している監督の勝率
工藤公康 出場回数:4回 通算21試合 16勝4敗1分 勝率.800
川上哲治 出場回数:11回 通算62試合 44勝18敗0分 勝率.710
三原脩 出場回数:5回 通算27試合 17勝9敗1分 勝率.654
上田利治 出場回数:5回 通算32試合 18勝12敗2分 勝率.600
森祇晶 出場回数:8回 通算50試合 29勝20敗1分 勝率.592
野村克也 出場回数:5回 通算29試合 16勝13敗0分 勝率.552
広岡達朗 出場回数:4回 通算26試合 14勝12敗0分 勝率.538
原辰徳 出場回数:6回 通算34試合 18勝16敗0分 勝率.529
王貞治 出場回数:4回 通算24試合 12勝12敗0分 勝率.500
水原茂 出場回数:9回 通算53試合 25勝26敗2分 勝率.490
古葉竹識 出場回数:4回 通算27試合 12勝13敗2分 勝率.480
藤田元司 出場回数:4回 通算24試合 11勝13敗0分 勝率.458
長嶋茂雄 出場回数:5回 通算29試合 13勝16敗0分 勝率.448
落合博満 出場回数:5回 通算31試合 13勝17敗1分 勝率.433
鶴岡一人 出場回数:9回 通算52試合 21勝31敗0分 勝率.404
星野仙一 出場回数:4回 通算24試合 9勝15敗0分 勝率.375
西本幸雄 出場回数:8回 通算46試合 14勝32敗0分 勝率.304
NPB史に残る名将を抑えてトップに立ったのが、現ソフトバンク監督の工藤公康。通算4回の出場で21試合を戦い、16勝4敗1分で勝率は.800。これは巨人をV9に導いた川上哲治の.710をも超えるとんでもない数字だ。もし今シーズンの日本シリーズで4連勝するようなことがあれば、さらに勝率は高まるだろう。
その工藤監督と戦うことになる巨人・原辰徳監督も、これまで6度出場し18勝16敗と見事に勝ち越し。勝率.529で、王貞治、藤田元司、長嶋茂雄という巨人のレジェンドを上回る数字を残しているのだ。
負けがない、勝ちがない監督は?
日本シリーズで1試合も負けていない監督、1試合も勝てなかった監督はいるのだろうか? 日本シリーズに出場した全48監督の成績を調べると、1度も負けなかった監督が1人、1度も勝てなかった監督は2人いる。
NPB史上唯一、日本シリーズで1試合も負けていない監督がボビー・バレンタイン。ロッテ第二次政権時の2005年に日本シリーズ出場を果たすと、
阪神相手に4連勝を飾り、初出場ながらシリーズを制覇。その後は日本シリーズに進出することなく日本球界を離れたため、通算4戦4勝0敗で、勝率1.000となっている。
1試合も勝てなかった監督は
伊原春樹と
岡田彰布の2人。伊原は
西武の監督として2002年に日本シリーズに進出するも、巨人相手に1勝も挙げられずに敗退した。岡田も阪神を率いていた2005年に日本シリーズを戦うも、先述のバレンタイン率いるロッテにスイープされている。どちらも日本シリーズ進出はこの1度のみのため、勝率は.000のままだ。
日本シリーズを戦った名将の「勝率」をまとめてみた。今季の日本シリーズは、ともに日本シリーズ勝率5割以上という名将同士の戦いとなる。工藤監督が勝てば、水原茂、三原脩の名将2人に並ぶ通算5回目の日本一、原監督が制覇すれば4回目と工藤監督に並んで現役最多となる。果たしてどちらが栄冠を手にするか、熱い戦いを期待したい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM