
今季は113試合の出場で打率.221、6本塁打、54打点に終わった安田
苦しみながらも成長した。初の開幕一軍も打率は1割台と苦しんでいた
安田尚憲。そんな中、7月に「チャンスで打てる打者」と
井口資仁監督が四番に抜擢。「まさか」と驚きを隠せなかったが、履正社高2年時から四番を張ってきた男は奮い立った。
「一軍の舞台で、四番を打たせてもらえる。すぐに『やってやるぞ』という気持ちが出てきたんです」
周囲の支えも力に変えた。
マーティンから通訳を介して「自信を持って打席に立て」との助言を受け、強い気持ちで打席へ。時に凡打に終わるも、
鳥谷敬から「良いときも悪いときも次の試合は来る。リセットする力も必要」と言われれば、試合後にバットを振り続けた。
「自分を見つめ直す時間をつくりたかった。だから数は決めず、納得するまでバットを振ったんです」
だが、カベに直面する。チームが好調を維持するほど重圧は大きくなるばかり。優勝争いの最中、主力が新型コロナウイルスに感染し、打線が低調になれば、なおのことだった。10月31日に「楽なところで打たせたい」と指揮官が決断し、7月21日から86試合連続で担った四番から七番に降格。すると、徐々に勝負強さが戻り、七番に座った
ソフトバンクとのクライマックスシリーズ初戦(PayPayドーム)で先制の2ラン、翌2戦目では四番に戻って左中間へ先制2点適時二塁打とポテンシャルの高さを証明した。
そもそも一軍でのシーズン完走も初めて。真価が問われるのは来季だ。苦しんだ経験は“真の四番”となるための肥やしとなるに違いない。
写真=BBM