
今季は20試合に登板し、11勝4敗、防御率3.60をマークした涌井
プロ16年目、34歳のベテラン右腕が新天地で再び輝いた。20試合に登板して11勝4敗、防御率3.60。
西武時代の2007年(17勝)、09年(16勝)、
ロッテ時代の15年(15勝)に続き、自身4度目となる最多勝のタイトルを獲得。3球団で最多勝を獲得するのは、史上初の快挙だ。涌井は「最初の8連勝を考えると、11勝はちょっと少なかった」と後半戦の失速に反省しつつも、「結果的にそういう(最多勝)争いができたのはいいこと」と、充実感をにじませた。
新球「こやシン」が絶大な効果を発揮した。
小山伸一郎コーチから教わったシンカーのことだ。ストレートと変わらぬ球速で右打者の懐に食い込むため、「打者もなかなか狙い球を絞れないと思う」。もともと多彩な変化球を操る上、さらなる魔球が加わったことで、安定感が増した。8月5日の
ソフトバンク戦(
楽天生命パーク)では「ノーノー未遂」の1安打完封劇を演じてみせた。開幕から8月19日の
日本ハム戦(札幌ドーム)まで続けた無傷の8連勝は、「こやシン」のおかげと言っても過言ではないだろう。
昨季、ロッテでは18試合に登板して3勝7敗に終わっていた。若手の先発起用のチーム方針もあり、自ら志願しての移籍(金銭トレード)。その決断が正しかったことを結果で証明した。ただし、チームは4位に終わっており、手放しでは喜べないのが現実だ。最多勝争いでも
千賀滉大、
石川柊太(ともにソフトバンク)に並ばれての同時受賞。「チームの優勝に貢献できるように頑張る。そして、またこのタイトルを獲りたい」と誓った。
写真=BBM