
今季は120試合に出場し、打率.350、14本塁打、64打点をマークした吉田正
まさに孤軍奮闘。開幕からチームが下位に沈む中で三、四番を担う主軸として鼓舞し続けた。豪快なスイングで右方向への強烈な打球を放つだけでなく、外角球に対しては華麗に流し打って8月11日から9月6日まで24試合連続安打。“剛”と“柔”を兼ね備える巧みなバットコントロールで打率.350のハイアベレージを残して首位打者に輝いた。それでも、「そこそこ」「まだまだ」が口をつくから恐れ入る。
「納得できなかった打席もあるし、打たされてゴロの打球も多かった。それに、長打も少ない。本塁打や打点など、ほかの成績を見れば、上には上がいますから」
あくなき向上心。ゆえの探求心が好成績の要因だ。「自分の中で考えて打席に立つ。だから、しっかりボールを仕留められる」とベンチやネクスト・バッターズサークルからの準備も欠かさず。「例えば、決め球が何だったのか、など。そういう配球を見て、じゃあ僕の打席で、どんな攻め方をしてくるのか考えているんです」。
狙い球を定めた成果が表れたのが.395をマークした初球打率だ。一方で「長くボールを見るために追い込まれたら逆(左)を意識する」と、2ストライク時も打率3割超を記録。規定打席到達者で最少の29三振と、入団時から口にする「幅のある打撃をしていきたい」は意識と数字が物語る。
それでも目指すものは常に先。「すべてのタイトルを争う」と、究極の目標は“全冠”。初の首位打者獲得も、慢心の2文字はない。
写真=BBM