「優勝に貢献して、プロに行きたい」

早大・西垣雅矢は練習始動日となった1月5日、プロ志望を表明。報徳学園高では3年春のセンバツ甲子園で4強進出へと導いている
2002年10月上旬、報徳学園高に在籍した
尾崎匡哉(元
日本ハム)の取材へ行った。ドラフトを控えた思いを聞く、直前企画である。
同年春、報徳学園高はセンバツを28年ぶり2度目の制覇。グラウンドでは、尾崎とともに、優勝の原動力となった
大谷智久も大学進学へ向けて汗を流していた。そこで、永田裕治監督(現・日大三島高監督)はふと、口にした。
「大谷には、何も言うことはない。正直、このままプロへ行ってもやれると思います」
大谷は早大で東京六大学通算18勝を挙げ、トヨタ自動車では2度の日本選手権制覇に貢献。2010年ドラフト2位で
ロッテに入団した。実働10年で通算120ホールド。マリーンズのブルペンを支え続け、昨季限りで引退した。
前置きが長くなった。
早大は1月5日、新年の練習をスタートした。報徳学園高、早大と大谷と同じ道を歩んできた147キロ右腕・西垣雅矢(新4年)は、大学卒業後の目標として「プロ」を掲げた。
「大谷さんですか? 報徳では『伝説の人』として語り継がれていました。とにかく真面目過ぎる、と。だからこそ、あれだけ長く、プロで活躍された。自分も誰よりも努力して、態度の部分で見せていきたいと思います」
西垣は報徳学園高のエースとして、17年春のセンバツで4強進出。早大への進学が決まった17年12月、母校にあいさつへ来た大谷と一度だけ会ったことがある。西垣はあまりの緊張により、大先輩へ対して「早稲田へ行きます!」と報告するのがやっとだったという。
昨秋までリーグ戦通算6勝(3敗)。先発投手として、1試合を投げ切るため、打者3巡目以降の投球を課題にしている。ストレートの球質アップに加えて、チェンジアップら緩急自在の配球を追い求めている。
「優勝に貢献して、プロに行きたい」
巨人ファンであり、
菅野智之のような圧倒的なピッチングを目指している。そして、先輩・大谷のように息の長い投手になるのが目標だ。
文=岡本朋祐 写真=BBM