理想の打者は鈴木誠也
東海大の副主将・小玉佳吾は今春の目標を「三冠王」に掲げる。東海大菅生高3年夏の甲子園で4強へ進出した実績ある右スラッガーだ
2017年夏の西東京大会。その主役は
清宮幸太郎(現
日本ハム)だったが、早実は決勝で敗退した。甲子園に出場したのは東海大菅生高で、同校最高成績の4強。「三番・二塁」の小玉佳吾は打率.529、2本塁打8打点と大活躍した。
あれから4年。小玉は東海大の4年生となり、新チームでは副主将に就任した。昨年10月、複数部員の大麻使用により、無期限活動停止。2月1日に活動を再開し、小玉は約4カ月ぶりの全体練習に、心地良い汗を流した。
新監督には、同大学OBの井尻陽久氏が就任した。練習中、選手を一塁ベンチ前に集めて打撃指導したが、そのモデルとなったのは小玉。2021年の中心選手であることは、間違いない。
昨秋の首都大学は1試合総当たりのリーグ戦。東海大は不祥事を受け、最終戦は出場辞退し、1勝4敗と部史上初の最下位でシーズンを終えた。小玉は「四番・一塁」で計3試合に出場し、9打数4安打1打点の成績だった。
181センチ81キロ。右投右打の大型内野手は、最終学年を前にして「プロ志望」を表明している。
「ポジション的に、一塁ではどうかと思いますので、今年は二塁に挑戦したいと思います。走塁にも力を入れ、試合では盗塁も積極的に狙っていきたい」と、50メートル走6秒フラットの俊足を前面に出していくと宣言した。
前季最下位からの巻き返しを固く誓い、リーグ優勝へと導いた上で、目指すは打撃タイトル3冠である。「打率.350以上、5本塁打、15打点」と圧倒的な数字をマークして、NPBスカウトへ猛アピールするつもりだ。
ところで、3年夏の西東京大会決勝で対戦した清宮は、同期生としてどう映っていたのか。
「当時のライバル? そんなレベルではありません(苦笑)。自分とは、次元が違い過ぎます。『すげ〜っ』という感じで、一歩引いた目で見ていましたので。接点? ありません」
理想とする右打者は
広島・
鈴木誠也。プロへのあこがれは強いが、まずは足元を見つめる。「野球だけではなく、大学生として、学校生活、日常生活もしっかりと過ごしていきたい」と背筋を伸ばす。学生ラストイヤーを控え、技術向上と並行して、人間力を高めていく。
文=岡本朋祐 写真=中野英聡