読売ジャイアンツ
豊富なリリーフ陣を抱えるチームだけあって、9回以外は流動的な起用を行ってきた。最後を任されてきたのがR.デラロサで、2019年は途中加入、20年はケガもあったが2年間で25セーブ。ただ、昨季は主に8回を任されることが多かった左腕の中川皓太のクローザー就任が濃厚に。代理でのクローザー経験のある中川(23セーブ)も、ポジション奪取に意欲を見せる。代わりにデラロサが8回を任される予定だったが、骨折で開幕が絶望なため、ここに昨季日本シリーズで164キロをマークしたT.
ビエイラが入りそう。ただ、7、8回はやはり流動的で、“勝利の方程式”となると、ベテランの
大竹寛を筆頭に
鍵谷陽平、
高梨雄平らの名前が挙がる。ほかに
大江竜聖、
戸根千明、
高木京介ら豊富なタレントでシーズンを戦い抜く。
阪神タイガース
昨季、最多セーブを獲得した
スアレスが残留したことでリリーフ陣の形が決まった。それに加え、新助っ人の来日が遅れていることでリリーフ陣の中に
エドワーズを組み込めることができそう。そうなると7、8回は
岩貞祐太、岩崎優、エドワーズにドラフト8位の
石井大智の右2人、左2人の4人で回していくことになりそうだ。相手打者との兼ね合いを見ながらの起用となるが、基本は岩崎がセットアッパーで、クローザーがスアレスとなる。中継ぎ陣は陣容が昨季と少し変更となっても安定感抜群の中継ぎ陣となりそうだ。
中日ドラゴンズ
中日の勝利の方程式は昨年とまったく同じ。“大福丸”の3人だ。大は
祖父江大輔、福は
福敬登、丸はライデル・マルティネス。祖父江と福は昨年、そろって最優秀中継ぎ賞を受賞。マルティネスも終盤に戦列を離れて21セーブにとどまったが、失敗はゼロと抜群の安定感を見せた。6回終了時点でリードした試合は無敵の37連勝。その中心となったこの3人が今年も7回以降、勝利のバトンをつないでいくことになる。心配なのはフル回転による疲労の蓄積。さらにマルティネスはキューバ代表として予選を戦うため、シーズン途中の離脱が決まっていることだ。その際は祖父江が代役となるだろうが、そこが耐えどころか。ルーキーの
森博人、新助っ人
ロサリオが勝利の方程式の輪に加われば、さらに盤石となるが、そこは未知数の部分でもある。
横浜DeNAベイスターズ
最多セーブのタイトルを2度獲得している
山崎康晃は、昨季の不振からファームでの調整が続いている。現時点でクローザーは昨季18セーブの三嶋一輝が務める。本来であれば7回は
石田健大、8回はエスコバーとつなぎたいところだが、新型コロナウイルスの影響で来日が遅れているエスコバーに代わって、2年目の
伊勢大夢がセットアッパーの役割を担う可能性が高い。「石田-伊勢-三嶋」がシーズン開幕時点の、ベイスターズ勝利方程式だ。
広島東洋カープ
昨季は前半は形が決まらず、後半ようやく
ケムナ誠、
塹江敦哉、
ヘロニモ・フランスアで固まった広島の勝利の方程式。だが今季はフランスアが来日前に新型コロナウイルス陽性となりキャンプ合流遅れ。開幕へ新しい形を模索する必要に迫られている。ただ、明るい見通しはある。栗林良吏、
森浦大輔、
大道温貴の新人3投手が、練習試合からオープン戦と、リリーフで好投を続けていることだ。中でも大道は気迫十分の投球で評価を高めており、勝利の方程式入り有力。栗林も力強い速球と落ちる変化球にクローザーの期待が高まる。現状では、「勝利の方程式」は大道-塹江-栗林が有力だが、球威のあるケムナや
島内颯太郎も含め、まだまだ争いが続きそうだ。
東京ヤクルトスワローズ
昨季同様、8、9回は清水昇-
石山泰稚のリレーになるはずだ。昨季フル回転だった清水は最優秀中継ぎ投手のタイトルを手にし、より自信をつけた。威力抜群のストレートは凄みを増している。7回は未定だが、これは良い意味で。実績のある
マクガフに、速球が武器の
梅野雄吾、そしてフォークを習得し成長を続ける左腕・
長谷川宙輝が、「7回の男」の座を巡って争いを繰り広げている。ただ、先発が手薄で中継ぎに負担が集中することが予想されるため、勝ちパターン以外でも腕を振ってもらいたいのが現状。クローザー出身の
高津臣吾監督が見せる起用法に注目だ。
写真=BBM