
巨人の先発の一角を狙う畠は16年ドラフトで2位指名された
ドラフト2位指名の選手は、1位指名選手と比べてどうしても話題性で劣ってしまう。しかし、大卒選手や社会野球から加入した即戦力候補が多く、1位指名よりも注目している人も多いだろう。では、実際に「ドラ2選手」はどのような成績を残しているのだろうか? 今回は、2010年から2019年までのドラフト2位指名選手を振り返ってみた。
※各選手の成績は2021年3月30日終了時点のもの くすぶっているケースも多いドラ2選手
●2015年
・巨人:
重信慎之介 329試合 565打数138安打5本塁打 39打点 40盗塁 打率.244
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阪神:
坂本誠志郎 144試合 286打数62安打5本塁打 27打点 1盗塁 打率.217
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中日:
佐藤優 90試合 5勝2敗5セーブ 17ホールド21HP 防御率4.34
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広島:
横山弘樹 ※引退
6試合 2勝2敗 防御率5.47
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DeNA:
熊原健人 ※
楽天を経て引退
23試合 4勝2敗 防御率5.16
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ヤクルト:廣岡大志 ※現在は巨人所属
236試合 473打数101安打21本塁打 54打点 5盗塁 打率.214
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ソフトバンク:
小澤怜史 ※現在はヤクルト所属
2試合 0勝0敗 防御率13.50
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ロッテ:
関谷亮太 ※引退
28試合 7勝10敗 1ホールド2HP 防御率4.96
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西武:
川越誠司 48試合 64打数10安打2本塁打 5打点 0盗塁 打率.156
・楽天:
吉持亮汰 21試合 31打数5安打0本塁打 5打点 1盗塁 打率.161
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日本ハム:
加藤貴之 132試合 28勝26敗 6ホールド10HP 防御率3.72
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オリックス:
近藤大亮 160試合 8勝10敗2セーブ 56ホールド64HP 防御率3.22
2015年ドラフトの2位指名選手の中には、すでに引退していたり、他チームに移籍したりしている選手もいる。「活躍している(した)」といえるのが、オリックス・近藤、日本ハム・加藤の2人だ。近藤は中継ぎとして3年連続で50試合以上に登板し、投手陣を支えた。しかし、2020年9月に右ヒジの手術を受け、今季は育成から再出発となる。加藤は1年目から7勝を挙げるなど早い段階で先発ローテーション入りを果たしており、今季も初先発試合で見事に白星を手にしている。その他には、重信慎之介や坂本誠志郎も先々が期待できる選手だ。
●2016年
・巨人:
畠世周 39試合 12勝9敗 3ホールド5HP 防御率3.31
・阪神:
小野泰己 53試合 9勝15敗 5ホールド5HP 防御率4.47
・中日:京田陽太
548試合 2106打数524安打16本塁打 149打点 68盗塁 打率.249
・広島:
高橋昂也 6試合 1勝2敗 防御率9.43
・DeNA:
水野滉也 ※引退
1試合 0勝1敗 防御率5.79
・ヤクルト:
星知弥 88試合 7勝11敗 5ホールド7HP 防御率4.98
・ソフトバンク:
古谷優人 4試合 0勝0敗 防御率3.18
・ロッテ:
酒居知史 ※現在は楽天所属
136試合 15勝13敗 33ホールド41HP 防御率4.29
・西武:
中塚駿太 9試合 0勝0敗 防御率9.31
・楽天:
池田隆英 ※現在は日本ハム所属
16試合 1勝6敗 4ホールド4HP 防御率5.85
・日本ハム:
石井一成 321試合 758打数154安打8本塁打 53打点 9盗塁 打率.203
・オリックス:
黒木優太 94試合 7勝4敗2セーブ 42ホールド49HP 防御率4.33
2016年ドラフト組では、中日の京田陽太が「活躍している選手」の筆頭だ。1年目からレギュラーとして活躍し新人王を獲得。ここまで打撃タイトルの獲得はないが、リーグ屈指の守備力が魅力で、もはや中日には欠かせない存在となっている。京田以外はくすぶっている選手も多く、畠世周や古谷優人は投手陣のレベルアップのためにもさらなる成長が期待される存在。また、今季育成からの復活を期す黒木優太にも注目したい。
●2017年
・巨人:
岸田行倫 38試合 50打数13安打1本塁打 5打点 0盗塁 打率.260
・阪神:
高橋遥人 37試合10勝16敗 1ホールド1HP 防御率3.31
・中日:
石川翔 1試合 0勝0敗 1ホールド1HP 防御率0.00
・広島:
山口翔 9試合 1勝3敗 防御率4.85
・DeNA:神里和毅
293試合 846打数234安打14本塁打 73打点 37盗塁 打率.277
・ヤクルト:
大下佑馬 71試合 2勝4敗 7ホールド9HP 防御率4.30
・ソフトバンク:
高橋礼 88試合 16勝9敗 23ホールド27HP 防御率3.13
・ロッテ:
藤岡裕大 333試合 1104打数262安打11本塁打 97打点 25盗塁 打率.237
・西武:
西川愛也 5試合 13打数1安打0本塁打 2打点 0盗塁 打率.111
・楽天:
岩見雅紀 29試合 62打数8安打1本塁打 4打点 0盗塁 打率.129
・日本ハム:
西村天裕 77試合 3勝2敗1セーブ 11ホールド14HP 防御率3.95
・オリックス:
鈴木康平(K-鈴木)
31試合 4勝8敗 1ホールド1HP 防御率5.25
2017年のドラ2指名選手は、藤岡裕大や高橋礼、神里和毅といった、現在チームの主力としてプレーしている選手が多い。特に神里は、FAで移籍した
梶谷隆幸の穴を埋める活躍が期待されている。また、残念ながら今季はケガで早々に離脱してしまったものの、阪神の高橋遥人は先発の一角になり得る存在。巨人の岸田行倫も二軍で活躍しており、今後が楽しみな選手の一人だ。
●2018年
・巨人:
増田陸 公式戦出場機会なし
・阪神:
小幡竜平 54試合 127打数28安打0本塁打 7打点 3盗塁 打率.220
・中日:
梅津晃大 13試合 6勝4敗 防御率3.12
・広島:
島内颯太郎 64試合 1勝0敗 4ホールド5HP 防御率4.68
・DeNA:
伊藤裕季也 26試合 66打数19安打4本塁打 8打点 0盗塁 打率.288
・ヤクルト:
中山翔太 65試合 146打数39安打9本塁打 22打点 0盗塁 打率.267
・ソフトバンク:
杉山一樹 15試合 0勝0敗 2ホールド2HP 防御率3.27
・ロッテ:
東妻勇輔 37試合 3勝2敗 8ホールド11HP 防御率4.00
・西武:
渡邉勇太朗 公式戦出場機会なし
・楽天:
太田光 125試合 236打数51安打5本塁打 27打点 1盗塁 打率.216
・日本ハム:野村佑希
25試合 87打数24安打3本塁打 20打点 0盗塁 打率.276
・オリックス:
頓宮裕真 43試合 134打数33安打6本塁打 16打点 0盗塁 打率.246
今季で入団3年目を迎える2018年ドラフト組。「まだこれから」という選手が多い中で、すでにレギュラークラスの楽天・太田光や日本ハム・野村佑希、ソフトバンク先発の一角を狙う杉山一樹などが注目の存在だ。特に野村佑希は、開幕から5戦連続で安打を記録中。少し気が早いが、この調子を維持できれば、打撃タイトル獲得も期待できる。
●2019年
・巨人:
太田龍 公式戦出場機会なし
・阪神:
井上広大 6試合 11打数1安打0本塁打 1打点 0盗塁 打率.091
・中日:
橋本侑樹 15試合 0勝0敗 防御率7.00
・広島:
宇草孔基 13試合 43打数11安打0本塁打 3打点 3盗塁 打率.256
・DeNA:
坂本裕哉 10試合 4勝1敗 防御率5.67
・ヤクルト:
吉田大喜 16試合 2勝7敗 防御率5.58
・ソフトバンク:
海野隆司 5試合 4打数0安打0本塁打 0打点 0盗塁 打率.000
・ロッテ:
佐藤都志也 60試合 114打数26安打2本塁打 12打点 0盗塁 打率.228
・西武:浜屋将太
13試合 3勝4敗 防御率5.04
・楽天:
黒川史陽 10試合 14打数2安打0本塁打 2打点 0盗塁 打率.143
・日本ハム:
立野和明 公式戦出場機会なし
・オリックス:
紅林弘太郎 9試合 31打数7安打1本塁打 3打点 0盗塁 打率.226
2年目の2019年ドラフト2位指名選手の中では、ロッテの佐藤都志也が「出場経験」という意味では抜けた存在だ。しかし、まだ一軍レギュラーをつかむには至っておらず、今季も二軍スタートとなっている。今季注目したいのが西武の浜屋将太。開幕2戦目で先発起用され、残念ながら5回3失点と勝つことはできなかったが、今後も期待できるピッチングだった。
2015年から2019年までのドラ2選手を振り返ってみたが、長くくすぶっている選手が多い。もちろん、ドラ1選手であってもそう簡単にプロで通用するわけではないが、2位指名の方は「苦戦している」といった印象だ。とはいえ、今後の飛躍が期待できる選手も何人かおり、一躍スター選手の仲間入りという可能性もゼロではない。ドラ1選手に注目が集まりがちだが、今季はぜひドラ2指名の選手にもフォーカスしてもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM