巨人に見劣りしない戦力

4月7日の巨人戦(甲子園)でプロ初勝利の伊藤(右)と矢野監督
巨人のリーグ3連覇阻止の一番手として、下馬評が高いのが
阪神だ。先発ローテーションは
西勇輝、
青柳晃洋、
藤浪晋太郎、
秋山拓巳、
ガンケル、ドラフト2位左腕・
伊藤将司の陣容で、韓国リーグで昨季20勝を挙げて最多勝に輝いた
アルカンタラも4月4日に入国。今後は14日間の隔離期間を経てチームに合流する予定だという。春季キャンプ中に右ワキ腹を痛めてファームで調整している
高橋遥人も実戦復帰に向けて順調に段階を踏んでいる。
救援陣も
岩崎優、
岩貞祐太から守護神・
スアレスにつなぐ勝利の方程式が確立している。層が薄いのは気がかりだが、実績十分の
桑原謙太朗、ドラフト8位右腕・
石井大智、
小野泰己、
ソフトバンクから戦力外通告を受けて新天地で復活を狙う
加治屋蓮などが機能すれば、盤石になるだろう。
昨季はリーグ4位の494得点に終わった打線も今年は一味違う。六番にドラフト1位・
佐藤輝明が加入したことで重厚感が一気に増した。
西武、
オリックスで監督を務めた
伊原春樹氏は週刊ベースボールのコラムで、「対戦を重ねるたびに、相手も研究してくる。ギリギリでストライクゾーンを外れる高めのストレートに手を出して打撃が崩れ始めたり、佐藤輝自身も考え過ぎて持ち前の積極性が失われたりしてくるかもしれない。しかし、それを乗り越えてこそ本物。佐藤輝なら必ず壁を打ち破ってくれるはずだ。とにかく、見ていてワクワクする選手だし、
桑田武(元大洋ほか)さん、
清原和博(元西武ほか)の新人最多本塁打記録31本を更新する可能性も十分にあるだろう」と高く評価している。
また、外国人枠を巡る争いも熾烈だ。昨季韓国リーグで打率.349、192安打、47本塁打、135打点の好成績で本塁打王、打点王の打撃2冠、シーズンMVPに輝いたスイッチヒッターのロハスが加入。アルカンタラとともに4日に入国した。
サンズ、マルテがクリーンアップを務めるがその座は安泰ではない。
糸井嘉男、
陽川尚将もベンチに控えている。ハイレベルな競争がチーム力を上げることは間違いないだろう。

注目ルーキーの佐藤輝。今後、打棒が爆発していくか
戦力は決して巨人に見劣りしない。だが、優勝に向けて払拭しなければいけないのが巨人アレルギーだ。「伝統の一戦」で名勝負を繰り広げてきた宿敵に対し、12年から9年連続カード負け越しの屈辱を味わっている。昨年も開幕3連敗を喫するなど巨人戦で8勝16敗と大きく負け越し、V逸の原因となった。
矢野燿大監督は今年の春季キャンプ初日に、宿敵のカラーを意識してオレンジ色のサングラスを装着。雪辱に闘志を燃やしている。
元阪神監督の
岡田彰布氏も週刊ベースボールのコラムで、「阪神は巨人を倒すことによって優勝に近づく可能性は高い。でも巨人も戦力的に対応する力はある。やはり阪神と巨人のマッチレース。この予想は変わりない。開幕直前の修正順位予想はない。オープン戦を振り返り、阪神と巨人と、ほかの4球団との力の差は歴然であり、長いシーズンになれば、この差はさらに開くと見ている」と分析する。
6日に本拠地・甲子園で迎え撃った初の直接対決は阪神が3回までに6得点の猛攻で快勝した。続く2戦目も7対1で快勝。ルーキー・伊藤が7回1失点でプロ初勝利をマークした。3戦目は0対3で敗れたが、今季初の直接対決は2勝1敗の勝ち越しと好スタート。8日現在、8勝4敗で首位に立つ阪神だが、直接対決で巨人を叩くことができるかが、ペナントレースのカギを握っている。
写真=BBM