開幕してから約1カ月が経過したセ・リーグ。連日熱戦が繰り広げられているが、果たして各球団は順調に戦うことができているのか。セ・リーグ6球団の開幕からの戦いぶりを100点満点で採点した。 記録は4月26日現在 阪神タイガース

得点を挙げ盛り上がる阪神ベンチと矢野監督
1位・阪神 95点
開幕3連勝で勢いに乗り、8連勝も記録。先発投手陣6人中5人が一時期、防御率1点台をキープし、22試合連続5回以上を投げ切るなど好調だった。中継ぎ陣も、
岩貞祐太、
岩崎優、抑えの
スアレスが万全でチーム防御率はリーグ1位の2.71。打撃陣もチーム打率.264でリーグトップだ。さらに29本塁打、123得点もトップと、盤石の流れで貯金11の18勝7敗を挙げている。新人の
佐藤輝明や
伊藤将司の活躍でチームの雰囲気もいい。当然100点満点に近い数字と言っていいが、4月24日に開幕投手を務めた
藤浪晋太郎が調子を落とし再調整で登録抹消となったのが少し気がかりだ。しかし、チーム自体は超積極的野球で、まだまだ快進撃の予感だ。
東京ヤクルトスワローズ
2位・ヤクルト 90点
2年連続最下位に沈み、開幕3連敗からのスタートながら、現在2位。下馬評を覆す快進撃を見せている。チーム防御率はリーグ5位の3.46と良くはないが、
清水昇や
マクガフに
石山泰稚、そして近藤弘樹といった強力リリーフ陣の存在が大きい。打線も、四番・
村上宗隆を中心に、二番としてマルチな働きをこなす
中村悠平、リードオフマンの
山崎晃大朗と、おのおのが役割を果たしている。
山田哲人が復活の兆しを見せ、新外国人らも加わった。ベンチの雰囲気も良く、チームが一つになっている。ただ、昨季も序盤は首位に立つなど好調だったが、結局は最下位に終わっている。この序盤戦の戦いを継続し、何としてでもAクラス入り、優勝を成し遂げたい。
読売ジャイアンツ

安定感のあるピッチングで先発陣をけん引する巨人・高橋
3位・巨人 65点
リーグ3連覇をターゲットに据えるチームにとって、27試合で14勝9敗4分け、5つの貯金はまずまず。65点のスタートだったといえる。V争いのライバルとなるであろう阪神がやや走り過ぎているきらいもあるが、直接対決は3勝3敗の五分。勝負はこれからだ。他球団同様に打線の軸と期待していた新助っ人2人が来日できず、4月に入ると
丸佳浩や好調だったZ.
ウィーラーら主力4選手が新型コロナウイルスの陽性判定で入院を余儀なくされる中、残されたメンバーが踏ん張った。特に4月11日からの6連勝中はすべてで先発投手に勝ち星がつくなど奮闘。中でも2019年のドラ1左腕・
高橋優貴が4戦4勝でハーラーダービトップを走るとともに、防御率も1.29とセNo.1の安定感を見せている。
広島東洋カープ

開幕から12試合連続無失点と快投を続ける広島の新人・栗林(左)
4位・広島 60点
栗林良吏をはじめ、新人投手3人を課題だったリリーフ陣に入れた効果もあり、開幕直後は快調なスタートを切ったかと思われた。しかし、エースの
大瀬良大地が右足を痛めて登録抹消になると同時に、
菊池涼介、
鈴木誠也らが引っ張っていた打線の調子が下降、以降はやや苦しい戦いに。先発陣は、
九里亜蓮と
森下暢仁は計算できるが、それ以外は安定感が今一つ、救援陣も栗林はデビューから12試合連続無失点と快投を続けるが、
森浦大輔や
大道温貴、
塹江敦哉は、このところつかまるケースも出てきており、開幕直後の安定感はない。一時、戦列を離れていた
松山竜平や
クロンが戻ってきた打線がより活発になれば、投手陣が楽に投げられる展開ができるが……。
中日ドラゴンズ

マウンドに集まる中日ナイン
5位・中日 30点
投高打低。それは想定内だったが、ここまで打線がひどいのは想定外だ。開幕から機能しているのは一番の
大島洋平くらいか。四番・
ビシエドの登録抹消があったとはいえ、打線の迫力不足はひどかった。26試合消化時点でわずか8本塁打。67得点は12球団ワースト。昨年からの貧打は解消されていないどころか、さらに悪化している。一方で投手陣は予想どおり奮闘している。これは想定内。防御率2.82は首位を走る阪神の2.71に次ぐ12球団2位。阪神は123得点だから、その差は明白だ。4月24日のヤクルト戦(神宮)は今季初の2本塁打が飛び出したものの、抑えの
R.マルティネスでまさかのサヨナラ負け。投打のバランスが崩れつつある。現状を打開するには打線の奮起しかない。
横浜DeNAベイスターズ
6位・DeNA 10点
開幕時点の戦力からある程度の苦戦は予想できたとはいえ、これほど勝てないとは……。
今永昇太、
東克樹を欠く苦しい台所事情ではあったが、投手は早々に先発陣が崩壊した。現時点で開幕先発ローテ6人中4人がケガや不調で登録を抹消される非常事態。先発が先制を許す試合が多く、厳しい試合展開を余儀なくされている。開幕直後はつなぎの攻撃で機能していた打線も、ソトと
オースティンを二軍での調整なしのぶっつけ本番で一軍に合流させたのが裏目。本調子でない助っ人が打線を分断してしまい、引きずられるように
佐野恵太、
宮崎敏郎からも打点が消えた。バッテリーのミスも多く、チーム全体が沈んだ雰囲気なのが心配だ。浮上のきっかけをつかみたい。
写真=BBM