試合の最後を締めるクローザー。このポジションの働き具合が、チーム浮沈のカギを握るのは間違いない。開幕してから2カ月が迫ろうとしているが、果たして守護神の評価は――。セ・リーグ6球団のクローザーを100点満点で採点する。 記録は5月14日現在 読売ジャイアンツ
巨人 20点
R.デラロサの一軍復帰が待たれる。現在はそんな状況だ。昨季は2勝17セーブ5ホールドのデラロサは、今季も6試合で5セーブ。失点はゼロと安定していた。しかし、右腕は米国の市民権申請手続きのために4月15日に登録を抹消。すでに帰国しているものの、渡米した影響で1カ月の間、チームは正クローザー不在での戦いを強いられている。代役には開幕前にはクローザー就任の可能性もあった
中川皓太が期待されたが、昨季防御率1.00の安定感はなく、T.
ビエイラは防御率6.92で二軍降格。ほかに
高梨雄平にセーブがあるが、現在は
鍵谷陽平らでしのいでいる。チーム全体でも38試合で8セーブ(20勝)のみ。5月3日に再来日し、2週間の隔離期間中のデラロサの合流を、首を長くして待っている。
阪神タイガース
阪神 90点
9回は得点を奪えない……というイメージがセ・リーグの5球団にはあるのではないか。それくらい阪神クローザーのスアレスは開幕から危なげない投球でセーブを稼いでいる。5月14日の巨人戦(東京ドーム)では1点リードの9回にマウンドへ。先頭の
スモークに左前打を許したが、後続をしっかりと締めた。まさに“CLOSER”。これで自身最長の17試合連続無失点を記録し、リーグ単独トップの11セーブ目を挙げ防御率は0.47となった。スアレスがマウンドに上がれば点を取られない。そこまで1点でも勝っていれば、チームは勝てる。まさに守護神というべき存在になっている。
東京ヤクルトスワローズ
ヤクルト 65点
もちろん、今季も石山泰稚が9回を締める。直球を中心にキレ味鋭いスライダー、フォークで三振が奪える右腕は、リーグ2位の10セーブを挙げている。ただ、5月9日の巨人戦(東京ドーム)では、1点リードで迎えた9回一死一、二塁の場面で、
岡本和真にサヨナラ3ランを献上するなど、セーブ失敗に終わることも。それでもチーム3位タイの18試合登板が示すように、
高津臣吾監督からの信頼は揺るがない。石山に
清水昇、
マクガフ、そして
近藤弘樹らリリーフ陣は登板過多になっているが、石山を中心に踏ん張っている。
広島東洋カープ
広島 100点
開幕してから、まだ1点も相手に与えたことがないのだから、当然100点満点だ。広島ではドラフト1位の栗林良吏が新人ながらクローザーに指名され、16試合連続無失点の快投を見せている。オープン戦で無失点投球を続け、抑えに指名されると、3月27日の
中日戦(マツダ広島)でプロ初登板初セーブ。これは広島では背番号「20」の先輩でもある
永川勝浩現投手コーチ以来18年ぶりだった。勢いそのままに無失点投球は続き、2019年に
甲斐野央(
ソフトバンク)が作った新人の開幕からの連続試合無失点記録の「13」にも5月3日の巨人戦(マツダ広島)で追いつき、4日の同戦で追い越した。即戦力ルーキーの快進撃はどこまで続くか。
中日ドラゴンズ
中日 90点
中日のクローザーは快速球右腕のR.マルティネス。しかし今季は新型コロナ禍の影響で来日が遅れ、開幕には間に合わなかった。代役となったのは
祖父江大輔。不慣れなポジションながら好投して5セーブを挙げた。その後はR.マルティネスが予定どおり、クローザーへと戻り、ここまで12試合に投げて0勝1敗5セーブ、防御率1.54と結果を残している。悔やまれるのは4月24日のヤクルト戦(神宮)。1点リードを守れずのサヨナラ負けで約1年9カ月ぶりの黒星となったが、それ以外はほぼ完璧な内容だ。ただ、キューバ代表として東京五輪予選に出場するため、今月下旬には戦線離脱となる。次の代役は再び祖父江か、または
又吉克樹が有力か。
横浜DeNAベイスターズ
DeNA 70点
5月11日の巨人戦(横浜)、同点の9回に
若林晃弘、
吉川尚輝に連続アーチを許して敗戦。翌日の同カードも2点リードの9回二死一塁から、岡本和真に甘く入った直球をバックスクリーン右へ同点2ランを運ばれ、チームは痛恨のドロー。DeNAのクローザー・三嶋一輝の今季は、この2戦の印象が強すぎるが、17試合で5セーブ、防御率2.81と悲観する数字ではない。実際に巨人戦で失点するまでは、14試合連続で自責点0と安定していた。
三浦大輔監督も「「最後の1アウトを取ることが一番大変だと身に染みて分かったと思う。次に生かしてくれたらいい」と変わらない信頼感を口にしている。
写真=BBM