高校時代は2度の東京大会制覇
東大の141キロ右腕・松岡由機は慶大とのフレッシュトーナメントブロックBで6回1失点と好投した
今秋への光明である。
東大・松岡由機(2年・駒場東邦高)が慶大とのフレッシュトーナメントブロックB(6月2日)で6回4安打1失点と力投。チームは0対2で惜敗し、敗戦投手となったが、手ごたえをつかむ90球となった。
今春に神宮デビュー。明大2回戦で4番手として救援したが、2/3回を投げ、打者9人に対して3安打、3四死球と力を出し切ることができなかった。「上半身が先行してしまった」と、この約1カ月でフォームを修正してきた。
高校時代は軟式野球部でプレーし、2年春と秋の東京大会を制している。最速135キロ。「軟式の世界だけではなくて、甲子園に出場した選手らと対戦し、自分の力を試してみたかった」。駒場東邦高は大学入試の準備期間を十分に確保するため、2年秋に引退する。「東大に行きたい」と受験勉強に本格着手し、現役で赤門をたたいたのである。
「力を入れないといけない」と硬式球の対応に苦労し、昨年は右ヒジを痛めた。徐々に慣れていくと、最速は141キロにまでアップ。120キロ台のカットボール、110キロ台のカーブ、そしてチェンジアップを駆使する投球を確立させた。
今春、東大はシーズン最終戦の法大2回戦で勝利し、連敗を64で止めた(3引き分けを挟む)。就任2年目・
井手峻監督(元
中日)のイズムが浸透。投手陣に2年生・松岡由が戦力として加われば、厚みが増してくる。
「秋はリーグ戦で抑えて、勝利に貢献したい」
2019年の東大主将・
辻居新平(栄光学園高)も軟式出身から大学4年間、努力を重ねて、強打の外野手に成長した。入れ替わりとなるが、もちろん、先輩の存在は知っている。「あこがれの存在です!」。松岡由が神宮で活躍することが、軟式球界の「希望の星」。後に続く後輩のためにも、全力で腕を振り続ける。
文=岡本朋祐 写真=矢野寿明