気持ちを切らさずにプレー

与えられた役割をきっちりこなしている大ベテランの糸井
阪神のドラフト1位ルーキー・
佐藤輝明が鮮烈な活躍で球界の話題を独占する中、その佐藤輝に右翼のレギュラーを押しのけられた
糸井嘉男も意地を見せている。
開幕から代打要員だったが、「六番・右翼」で今季初のスタメン起用された5月7日の
DeNA戦(横浜)で6回に左腕・エスコバーの直球を左中間に運ぶ今季初アーチ。9日の同戦も右中間に勝ち越しの2号2ランを放つなどマルチ安打の活躍で勝利に貢献した。その後はベンチを温めていたが、スタメンで出場したらきっちり仕事をする。30日の
西武戦(メットライフドーム)に「七番・指名打者」で13試合ぶりのスタメン出場を果たすと、2回に
平井克典から先制の3号2ランを放つなど、2打数2安打4出塁3打点の大暴れ。「超人健在」ぶりをアピールした。
阪神は急速な世代交代の波が押し寄せている。
藤川球児が昨季限りで現役引退し、
福留孝介、
能見篤史が戦力構想から外れて他球団に移籍した。これまで主力としてチームを引っ張ってきた糸井はプロ18年目で今年の7月に40歳を迎える。今年はレギュラーを確約されていない。
大山悠輔が5月6日に背中の張りで登録抹消され、右翼を守っていた近大の後輩・佐藤輝が本職の三塁に回ったが、空いた右翼でスタメン起用されたのは新外国人の
ロハス・ジュニア。打撃不振でもスタメンに名を連ねていたが、出場機会に恵まれない糸井は気持ちを切らさない。
昨季は古傷の左ヒザの状態が悪かったため満足のいく成績を残せなかったが、今季は体のコンディションが良くスイングが鋭い。他球団のスコアラーは「もともと力のある選手。体調が万全だったら打ちますよ。対戦するこちらからすれば、ロハスより糸井のほうがはるかに脅威です」と警戒を強める。
ネット上では、阪神ファンから「大山が戻ってきて三塁、佐藤は右翼で起用することになるが、糸井は指名打者で使い続けてほしい」、「結果を出している糸井が指名打者ではまればさらに強力打線になる。パ・リーグで長年プレーしていたし、熟知している。使わないのはもったいなさすぎる」と糸井のスタメン起用を熱望する声が多い。
「糸井さんは化け物」
年齢はチーム最年長だが、糸井は遅咲きだ。2004年に自由獲得枠で
日本ハムに投手として入団したが結果を残せず、06年に外野にコンバート。レギュラーをつかんだのは28歳の09年だった。同年からNPB史上初の6年連続打率3割・20盗塁・ゴールデン・グラブ賞獲得の偉業を達成。
オリックスにトレード移籍後も、14年に打率.331で首位打者、16年に53盗塁でNPB史上最高齢の35歳で盗塁王に輝いた。若手選手たちは「糸井さんは化け物。鋼の肉体はまったく衰えを感じさせない」と舌を巻く。
首位を快走する阪神は佐藤輝、ドラフト2位左腕・
伊藤将司、正遊撃手の座をつかんだドラフト6位・
中野拓夢ら新戦力の活躍が目立つが、長いペナントレースでベテランが必要な時期は必ず来る。16年ぶりの優勝に向け、糸井は必要不可欠なピースだ。
写真=BBM