3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 金田正一監督の恵比須顔と鬼顔?
今回は『1973年2月26日号』。定価は100円。
鹿児島のロッテキャンプが大賑わいだ。
主役は新監督の
金田正一。タレントとしても人気者だっただけに次々ファンが寄ってくる。
サインを求めるちびっこファンには、いがぐり頭をぐりぐり撫でて、「ロッテの試合は面白いで。今年は優勝するから君たちも応援してや!」と声をかける。
また、新婚旅行のカップル(当時は九州の宮崎、鹿児島は多かった)から「記念写真を撮らしてくんしゃい」(何弁?)と言われると、「よっしゃ! 新婚さん気分はいいやろ。まずはおめでとさん。生れ出るあかちゃんにもロッテファンになってチョーダイ!」
これでスタンドがどっと沸く。
ただ、いざ練習となると恵比寿顔が鬼顔に。バット片手に自ら猛ノック。選手が愚痴など言えば、すぐカミナリだ。
「お前らプロやろ。人より抜きん出ようと思ったら、他人より抜きん出た練習せんことにはうまくなれっこないということやで。分かったか!」
ただ、宿舎ではまた恵比寿顔。「みなさん、お疲れさん、あしたもまた頑張りましょう」になる。しかも食事がすごい。
というか、当時としてはだが。
1日の食費は3000円。前年より肉を400グラムアップした。2月4日からは牛乳、果物を飲み放題、食べ放題とし、朝食の品数を夕食並みとまではいかないが、増やしたという。
新主将の池辺も、「こんな待遇は入団して以来のもの。選手にこれだけ金を使ってくれるんだから僕らもやりますよ」
ただ、カネやん、記者から「選手にしたら金田監督は神様ですね」と言われると、「ワシの言うことを聞いて、すぐお金を出してくれる重光オーナーこそ神様ですということや。勘違いしてくれたら困るわ」
さすが人たらしか。
なお、表紙にあった「プロ野球をファンの手にかえせ!」に興味を持たれた方もいるようだが、パのゴタゴタに加え、サッカー、バレーボール人気もあって危機を言われていたプロ野球の再建策だ。
さほど目新しいことはなかったので、今回は割愛した。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM