レベルアップに励む日々
今季、2年目を迎えた松岡(球団提供)
昨シーズン終了後、「直球だけでは勝負できない」と実感し、変化球の習得に力を入れてきたのは2020年ドラフト3位で
西武にした
松岡洸希だ。「キャッチボールのときから変化球を投げたり、動作解析ソフトを使い回転数や軸などの数字を見ながらブルペン投球に臨みました」と自ら勉強を重ねながらの春季キャンプとなった。良い感覚のままキャンプを終えて挑んだ
巨人との練習試合(2月27日ジャイアンツ球場)だったが、打者6人に対し、2安打1本塁打2四球、自責点5という結果に、もう一度フォームの見直しに取り組むことにした。
杉山賢人二軍投手コーチとフォームの見直しをしていくなかで、持ち球の直球とスライダーに加えてフォークを取り入れることになった。フォークを投げ切ることで感じたのは、投球時の身体のバランスの良さ。さらに「投球動作の中で(あえて)考える時間をなくすため」ワインドアップをやめてノーワインドアップに変更。「投球動作の中で考える時間をなくし、一方で球種が1つ増えたことで投球の幅が広がりました。自分としては良い状態で開幕を迎えられました」とひとつレベルアップできたことにうなずいた。
開幕時点では今季の目標を、「直球のアベレージが147キロ以上」、「防御率は2点以内」、「変化球と直球のストライク率が50パーセント以上」、「前半戦が終わるまでに一軍昇格」と掲げたが、ここまでは決して満足のいく内容ではない。
いい感覚をつかむものの、それを自分のものにできないジレンマが松岡を悩ませる。5月5日に一軍昇格。6月1日の巨人戦(東京ドーム)では1回を3人で抑えるなど好投を見せたが、6月4日の
ヤクルト戦(神宮)では、降りしきる雨にも苦しめられ打者2人に対して2四球。7日には二軍降格を告げられた。
一軍では納得のいくピッチングができなかった(球団提供)
降格しても、何ごともないように続く一軍の試合を画面越しに見て、込み上げてくるのはチームに貢献できなかった悔しさ。「いま同級生の
渡邉勇太朗がいいところで登板しているのを見て、自分ももっと貢献できたのではないかと感じる部分はありますし、試合の入りから自分の球を投げていればまだ一軍に居られたと思います」と唇を噛んだ。一軍帯同中は
豊田清投手コーチからも課題をもらい、あらためて気づかされた部分もあったという。「戦う気持ちが見えない、四球を出すと自分の投球ができなくなる、と言われました」と本インタビューの中で松岡は、“己の弱さ”を口に出して自らを戒めた。
プロ2年目。ルーキーイヤーに続き、再び昇格を遂げた松岡だが、まだ自身の技術、そして気持ちでは、打ち返されてしまうことを容赦なく突き付けられた一軍生活の1カ月間だった。シーズンも前半戦は残りわずか。自分の弱点を痛感した松岡は、持ち前の直球で一軍の並み居る打者を打ち取るために、己と戦いながらあがく日々だ。
西武ライオンズ広報部