夏は「1週間500球以内」が初の運用

夏の甲子園は8月13日に予定されていた第3日が前日12日に続いて中止。2日続けての順延は、第96回(2014年)で台風接近による影響で、開幕日が2日順延になって以来だ
夏の甲子園大会の規則である「第103回全国高等学校野球選手権大会全国大会試合規定」の17番目の項目には、こう記載されている。
「選手の健康管理を考慮し、3回戦2日目、準々決勝、準決勝の各翌日は休養日とする。ただし、雨天等で3日以上順延となった場合は休養日を順次、取り消す。取り消しの順序や日程変更については主催者と
阪神甲子園球場が協議する」
当初、開会式が予定されていた8月9日、第3日(同12日)は第1試合(明桜-帯広農)の4回終了でノーゲームにより、2日目の中止。そして13日は第1試合のプレーボール2時間前、朝6時に中止決定が大会本部から発表された。
2日続けての順延は、第96回大会(2014年)で台風接近による影響で開幕日が2日順延になって以来。これで大会試合規定の「雨天等で3日以上順延」に該当し、3回戦2日目翌日の「休養日A」が消滅することになった。
3回戦以降の日程を整理してみる。
【1】8月21日 3回戦4試合
【2】8月22日 3回戦4試合
※休養日A消滅
【3】8月23日 準々決勝4試合
【4】8月24日 休養日B
【5】8月25日 準決勝2試合
【6】8月26日 休養日C
【7】8月27日 決勝
「休養日A」が消滅したことにより、大きな変化が生じることになった。
「1週間500球以内」の球数制限である。全国大会では今春のセンバツから初適用され、夏の選手権は今大会が初の運用となる。
従来【1】に組まれた8チームは3回戦2日目翌日の「休養日A」があれば、3回戦から決勝まで8日間。つまり、3回戦の球数は対象外となるはずだった。一方、【2】の8チームは「休養日A」があれば決勝まで7日間、今回の消滅を受けて決勝まで6日間。「休養日A」の有無をかかわらず、「球数制限」と向き合わなくてはならなかった。
日程上の事情で【1】と【2】に格差が生じていた。しかし、この日の「休養日A」の消滅により、「球数制限」おいては全8校が同条件。試合日程による不公平感はなくなった。
不公平感はなくなったが……
昨今、複数投手制が叫ばれており、各校とも主戦級の投手を2人以上準備してくる傾向にある。だが、チーム事情により、ほぼ1人に頼らないといけない学校もあるのが実情だ。組み合わせ上、早めに3回戦を消化する予定だった【1】の8校にとっては、3回戦からの計算になれば、影響が出る可能性はある。
今大会から新たに「休養日A」が設けられ、2日連戦が回避されるはずだったが、13日の中止により、適用されることはなくなった。天候には勝てないとはいえ、選手にとっては気の毒でならない。明日(14日)以降も天気予報は良いとは言えず、仮に中止となった場合、今後の「休養日B」と「休養日C」がどのような扱いとなっていくのか、注目されるところである。
文=岡本朋祐 写真=高原由佳