今季、打撃面で苦しんでいるのが
中日と日本ハムだ。特に日本ハムは、8月26日終了時点で3割打者、2ケタ本塁打到達者が0人。チーム得点も266で12球団最下位となっている。このままだと3割打者も2ケタ本塁打到達者もいないままシーズンを終える可能性がある。では、3割打者、2ケタ本塁打到達者が出なかったチームは過去にあったのだろうか?
3割打者不在は意外と多い
現在のチーム体制となった2005年から2020年までの打撃成績を基に、まずは3割打者(規定打席到達)が出なかったチームを調べてみた。
●2005年
日本ハム(チーム最高は
セギノールの.288)
オリックス(チーム最高は
平野恵一の.285)
楽天(チーム最高は
吉岡雄二の.282)
●2006年
横浜(チーム最高は
石井琢朗の.288)
●2007年
中日(チーム最高は
井端弘和の.296)
オリックス(チーム最高はローズの.291)
●2009年
阪神(チーム最高は
鳥谷敬の.288)
広島(チーム最高は
東出輝裕の.294)
●2011年
横浜(チーム最高は
渡辺直人の.266)
広島(チーム最高は
栗原健太の.293)
中日(チーム最高は
荒木雅博の.263)
ロッテ(チーム最高は
今江敏晃の.269)
楽天(チーム最高は
聖澤諒の.288)
●2012年
広島(チーム最高は
梵英心の.244)
阪神(チーム最高は鳥谷敬の.262)
オリックス(チーム最高は
李大浩の.286)
楽天(チーム最高は
銀次の.280)
●2013年
中日(チーム最高は
森野将彦の.286)
広島(チーム最高は
丸佳浩の.273)
●2014年
巨人(チーム最高は
長野久義の.297)
ロッテ(チーム最高は
鈴木大地の.287)
西武(チーム最高は
メヒアの.290)
日本ハム(チーム最高は
陽岱鋼の.293)
●2015年
巨人(チーム最高は
坂本勇人の.269)
阪神(チーム最高は鳥谷敬の.281)
中日(チーム最高はルナの.292)
広島(チーム最高は
新井貴浩の.275)
オリックス(チーム最高は
糸井嘉男の.262)
楽天(チーム最高は
藤田一也の.270)
●2016年
中日(チーム最高は
大島洋平の.292)
楽天(チーム最高は
茂木栄五郎の.278)
●2017年
ヤクルト(チーム最高は
坂口智隆の.290)
阪神(チーム最高は鳥谷敬の.293)
オリックス(チーム最高は
中島宏之の.285)
ロッテ(チーム最高は
角中勝也の.269)
楽天(チーム最高は茂木栄五郎の.296)
日本ハム(チーム最高は
西川遥輝の.296)
●2018年
ロッテ(チーム最高は
井上晴哉の.292)
楽天(チーム最高は
島内宏明の.292)
●2019年
ヤクルト(チーム最高は
青木宣親の.297)
DeNA(チーム最高は
宮崎敏郎の.284)
ソフトバンク(チーム最高は
松田宣浩、
甲斐拓也の.260)
●2020年
巨人(チーム最高は坂本勇人の.289)
阪神(チーム最高は
近本光司の.293)
ロッテ(チーム最高は
中村奨吾の.249)
楽天(チーム最高は鈴木大地の.295)
西武(チーム最高は
栗山巧の.272)

昨年、優勝した巨人だがチームで最高打率は坂本の.289だった
2005年以降、規定打席到達の3割打者が出なかったのは47例。2005年の日本ハムなど、3割到達者はいたものの、惜しくも規定打席に到達しなかったというケースもある。また、昨季の巨人はリーグ優勝を果たしたが、規定打席に到達した選手で3割超えはなし(坂本勇人の.289がチーム最高)。こうした、リーグ上位でも3割打者がいないという例もたびたび見られる。反対に、リーグ下位でも3割打者が複数出ることもある。今季のDeNAはリーグ最下位(8月18日終了時点)だが、打率リーグトップの
佐野恵太をはじめ、3割打者が3人もいる状況だ。
3割打者&2ケタ本塁打者不在は2005年以降2例
過去47例と、3割打者がひとりも出ないケースはそう珍しくはない。では、「2ケタ本塁打なし」は2005年以降で何例あるのだろうか? 2005年から2020年までの打撃成績を調べたところ、該当したのは以下の2例。
●2011年
ロッテ(チーム最多は
井口資仁の9本)
●2012年
楽天(チーム最多は
松井稼頭央、
牧田明久の9本)
2011年のロッテは3割打者が不在。さらにチーム史上初となる、「2ケタ本塁打なし」に終わった。2011年はいわゆる「飛ばないボール」の影響もあって各チームの本塁打数が減少。特に数字を下げたのがロッテで、チーム最高は井口資仁の9本、チーム総本塁打は46本で、この年のパ・リーグ本塁打王になった西武・
中村剛也の48本以下だった。チーム全員でもたった一人の打者に及ばなかったのだ。
2012年には、楽天が前年のロッテに続いて3割打者&2ケタ本塁打者不在を記録。規定打席到達では銀次の打率.280が最高で、本塁打は松井稼頭央と牧田明久が記録した9本がチームトップだった。楽天はこの年リーグ4位でCS進出を逃したが、攻撃力不足もその原因だったといえる。しかし、この状態から翌2013年は球団初のリーグ優勝を果たし、日本シリーズも制覇。見事な立て直し劇だった。
2005年以降で「3割打者&2ケタ本塁打者不在」はわずか2例。珍しい記録だが、打撃陣としては不名誉な記録だ。今季の日本ハムは2005年以降で3例目になることは避けたいだろう。日本ハム打撃陣の中では近藤健介が結果を残しており、8月26日終了時点で打率.285、7本塁打と3割、2ケタ本塁打の期待がかかる。果たして後半戦でどれだけ数字を伸ばすのか、日本ハムナインの奮起に期待したい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM