東京五輪で大活躍

9月15日の中日戦で24セーブ目を挙げた栗林
前回登板から中10日の間隔が空いたが、抜群の安定感を誇る新人守護神には関係なかった。9月15日の中日戦(バンテリン)。5対3と2点リードの9回裏にマウンドに上がった
広島・
栗林良吏は先頭の
福田永将を空振り三振、続く
高橋周平を左飛に仕留めると、最後は
堂上直倫をカウント2-2からカットボールで空振り三振。パーフェクトリリーフでチームの連敗を4で止めた。
ここまで40試合に登板して失点はわずか2。防御率は驚異の0.45を誇る。セーブは24を数え、
永川勝浩が2003年に記録した球団新人最多セーブまで残り1に迫った。「そこは超せたら一番いいこと」と栗林も記録更新を見据える。
今季は東京オリンピックでも金メダル獲得に貢献。日本代表の守護神として、全5試合に投げ、2勝3セーブの活躍。最初の登板では失点も2試合目からの立ち直りは見事だったが、大舞台を経験して得たのは「どんな状況でも自分の準備の仕方を変えちゃいけない」ということだったという。
さらに、日本代表のユニフォームを着る選手のさまざまな考え方を耳にした。どれもプラスになったが、特に印象に残ったのは以下の話だった。
「千賀(
千賀滉大、
ソフトバンク)さんのさんの『自分はその日のためじゃなくて、何年か先のためのウエートをしてるよ』という話です。シーズン中は筋肉痛になるほど追い込んでやらなくてもいいのかな、と思っていましたが、それを聞いて、自分も1年でも長く野球人生をやりたいので、『これからのことを思ってしっかりやろう』と思いました。
山崎康晃さん(
DeNA)には、9回を投げるための心の持ち方を教えてもらいました。今は(公式戦で)延長がないので、僕の場合は投げるなら9回、と決まっていますが、8回がビハインドでも準備することがありますよね。そういうときは、『追いついて回ってくる。必ず出番がある』というつもりで準備しなければいけないと」
今季のセ・リーグは新人王争いも熾烈を極めている。
佐藤輝明、
中野拓夢(
阪神)、
牧秀悟(DeNA)らライバルは多いが、栗林が本命と言えるだろう。1年目から得難い経験をしている背番号20がどこまで飛躍を果たすか楽しみだ。
写真=BBM