「野手の奮起が必要」

都市対抗西関東地区二次予選。ENEOSは代表決定トーナメント1回戦(9月27日、対東芝)で敗退(0対1)。大久保監督は29日に控える第2代表決定戦へ、気持ちを切り替えた
3チームのうち、2チームが東京ドームの舞台に立てる。都市対抗西関東地区二次予選は激しい展開となった。9月14日からの代表決定リーグ戦では、決着がつかなかった。
【第1戦】
9月14日▼ENEOS5-1東芝
【第2戦】
9月15日▼三菱重工East4-1ENEOS
【第3戦】
9月16日▼東芝3-2三菱重工East
ENEOSは第1戦で勝利し、王手をかけた第2戦を落とした。第3戦で三菱重工Eastが勝てば、2敗となる東芝の敗退が決定するところだったが、延長11回裏サヨナラ勝ちで踏みとどまった。つまり、3チームが1勝1敗で並び、代表決定トーナメントへと持ち込まれた。
1勝1敗で、第3戦の結果を待つ形となったENEOS・
大久保秀昭監督は「他力本願では、難しいので……。東芝さんがよく粘りました」と語った。代表決定トーナメントまで約10日の調整期間で、2試合のオープン戦を消化し、仕切り直しの大一番を迎えたのだった。
ENEOSは東芝との代表決定トーナメント1回戦で敗退。東芝の大卒2年目右腕・
吉村貢司郎の前に散発4安打でシャットアウト(0対1)された。「吉村投手には今年一番の投球をされた。いつもどこかで崩れる場面があるが、今日は粘られた」。一方、投手陣は先発の1年目・
関根智輝(慶大)が6回無失点の力投。8回表に3番手のルーキー左腕・
加藤三範(筑波大)が痛恨の一発を浴びたが、大久保監督は「バッテリーは責められない」と語った。指揮官が指摘したのは、打線の低調ぶりだった。
「似た者同士の対戦で、ロースコアは想定内でした。失策か本塁打で決まるのかな、と。いずれにしても、野手の奮起が必要です」
「ザ・都市対抗予選」
大久保監督は都市対抗3度、日本選手権1度の優勝へと導いた名将だ。2015年から母校・慶大を率いたが、任期を残し、19年12月から古巣の再建を託され、再びENEOSを率いている。昨年は5年ぶりの都市対抗出場へ導いたが、本戦では2回戦敗退。今夏の日本選手権も2回戦敗退と、強化の段階にある。若い布陣で、指揮官は「東芝さんには12年連続出場という経験値がある。若手、ベテランのバランスが良い。ウチが本物になるにはあと、2年はかかる」と、成長過程のチームであることを自覚している。とはいえ、就任から2年で、戦う姿勢が浸透してきた手応えはある。
「力の限り、よう頑張っている。(入社3年目の)主将・川口(凌、法大)もよく動き、チームを鼓舞してくれています」
中1日。ENEOSは第2代表決定戦(9月29日)を残すのみとなった。28日に行われる第1代表決定戦の敗者と対戦する。
「これが『ザ・都市対抗予選』ですね。負けたら終わり。天国か、地獄か……」
百戦錬磨の大久保監督は、計り知れないこの重圧を、楽しんでいるかのように見えた。泣いても笑っても、残り1枠をかけた最後の一戦。ここはもう、割り切るしかない。結果を恐れるよりも、目の前のプレーに集中すれば、光は見えてくる。ENEOSにとって、成長するステージとなることは間違いない。
文=岡本朋祐 写真=矢野寿明