リーグ3連覇を逃した
巨人はFAで加入した選手たちも悔しいシーズンとなった。新たな環境で挑戦する重圧は計り知れないが、その試練を乗り越えてこそ称賛される。
野上亮磨、
丸佳浩、
梶谷隆幸、
井納翔一…多くのファンが再び輝く姿を待ち望んでいる(※は10月17日終了時点の数字)。
今季は意地を見せていたが……

巨人・野上亮磨
・野上亮磨
※今季成績9試合登板、0勝1敗1セーブ4ホールド、防御率1.65
※通算成績254試合登板、58勝63敗4セーブ15ホールド、防御率4.03
西武では2ケタ勝利を2度マークするなど主に先発で活躍。2017年オフにFA移籍したが、18年は25試合登板で4勝4敗と結果を残せず、夏場から救援に配置転換。19年も13試合登板で1勝2敗1セーブ3ホールドと不本意な成績に終わった。同年10月のフェ
ニックス・リーグの試合中左アキレス腱断裂の大ケガを負い、昨年は一軍登板なし。崖っぷちに追い込まれたが、今季は意地を見せていた。4月2日の
ヤクルト戦(東京ドーム)で先発して6回4安打2失点の粘投。味方の援護に恵まれず今季初黒星を喫したが、チーム事情で救援に配置転換された後も好投を続けていた。しかし、5月18日の
広島戦(東京ドーム)で右肩の異常を訴えて緊急降板。翌19日に登録抹消された。リハビリを経て実戦復帰を目指す。
9年ぶりのファーム降格も

巨人・丸佳浩
・丸佳浩
※今季成績114試合出場、打率.253、20本塁打、50打点、5盗塁
※通算成績1466試合出場、打率.280、221本塁打、756打点、165盗塁
プロ4年目の2011年に広島でレギュラーに定着し、13年に盗塁王を獲得。17、18年と2年連続リーグMVPに輝き、外野の守備でも13年から7年連続ゴールデン・グラブ賞を受賞した。18年オフに巨人にFA移籍。攻守に不可欠な主軸として、19年は全試合出場で打率.292、27本塁打、89打点で5年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。昨季はチーム唯一の全120試合出場で打率.284、27本塁打、77打点。骨折が完治しないままプレーしていた驚きの事実を
原辰徳監督が記者会見で明かして大きな反響を呼んだ。強い心身と卓越した技術で「1人5連覇」を達成したが、今季は試練のシーズンに。打撃の状態が上がらず、6月に故障以外で広島在籍時以来9年ぶりにファーム降格。一軍復帰後も勝負の夏場でスタメンを外れる機会がたびたびあった。リーグ3連覇の可能性は消滅したが、クライマックスシリーズで意地を見せたい。
相次ぐケガに泣かされて

巨人・梶谷隆幸
・梶谷隆幸
※今季成績61試合出場、打率.282、4本塁打、23打点、11盗塁
※通算成績956試合出場、打率.270、123本塁打、420打点、160盗塁
DeNAで元監督の
中畑清氏に素質を見出され、2013年に打率.346、16本塁打をマーク。14年に初の規定打席に到達し、盗塁王を獲得した。その後も4年連続2ケタ本塁打、20盗塁をマークしたが、18、19年は右肩痛や若手の台頭で2年連続41試合出場と激減。昨年は打率.323、19本塁打、53打点と復活して巨人にFA移籍した。移籍1年目の今季はリードオフマンとして期待されたが、たび重なる故障に泣かされている。5月23日の
中日戦(バンテリン)で左太もも裏の違和感を訴えて登録抹消。6月2日のDeNA戦(金沢)から一軍復帰も、7月10日の
阪神戦(甲子園)で右手甲に死球を受けて骨折した。さらに、二軍戦で実戦復帰を果たそうとした9月7日に腰痛を発症。今季中の復帰が絶望的となった。万全の体でダイヤモンドを疾走する姿を見たい。
不安定な投球で本領発揮できず

巨人・井納翔一
・井納翔一
※今季成績5試合登板、0勝1敗、防御率14.40
※通算成績173試合登板、50勝61敗1セーブ10ホールド、防御率4.00
188センチの長身から投げ下ろす最速152キロの直球と落差の大きいスプリットを決め球にスタミナも十分。ただ、DeNAで2ケタ勝利をマークしたのは2014年の11勝のみ。好不調の波が激しく、18年以降は投球回数が100イニング届かないシーズンが続いた。それでも、昨オフにFA宣言すると巨人、ヤクルトが獲得に乗り出した。潜在能力を高く評価された所以だ。移籍を決断した巨人で先発として期待されたが、初登板となった3月31日の中日戦(バンテリン)で2回途中4失点KO。ファームに降格し、5月4日に救援要員で昇格したが、4試合登板のうち3試合で失点と不安定な投球内容で、同月20日に再び二軍降格した。5カ月後の10月3日に3度目の一軍昇格を果たしたが、登板機会がなく2日後に登録抹消。結果を残して信頼を取り戻すしかない。
写真=BBM