
2018年秋のドラフトで1位指名された高校ビッグ3(左から小園、根尾、藤原)
1位指名で高校生野手3選手に11球団の指名が集まった2018年秋のドラフトは、記憶に新しいだろう。「高校No.1ショート」の呼び声高かった報徳学園・
小園海斗に
オリックス、
DeNA、
ソフトバンク、
広島の4球団が競合し、広島に入団。投打の「二刀流」で大阪桐蔭の3年時に甲子園春夏連覇を達成した
根尾昂は
中日、
日本ハム、
巨人、
ヤクルトの4球団が競合して地元の中日へ。根尾と共に大阪桐蔭で黄金時代を築いた強肩強打の外野手・
藤原恭大は、
楽天、
阪神、
ロッテの3球団が指名してロッテが当たりクジを引いた。プロ3年目の今季は小園が遊撃の定位置を獲得。藤原は7、8月度の月間MVPを受賞したが、好調な時期が長続きしなかった。根尾は開幕一軍入りしたが、夏場以降はファーム暮らし。来季はプロ4年目。3選手にとって、野球人生の大きな分岐点になりそうだ。
打率3割目前の打撃

広島・小園海斗
・小園海斗(広島)
今季成績 113試合出場、打率.298、5本塁打、35打点、4盗塁
通算成績 174試合出場、打率.271、9本塁打、51打点、5盗塁
プロ入り後は最も早く頭角を現すと見られた。高卒1年目で史上2人目のオープン戦複数アーチを放ち、シーズンも58試合出場で打率.213、4本塁打、16打点。しかし、昨年は3試合のみの出場に終わり今年の春季キャンプも二軍スタート。苦境にあえいだが、ここからはい上がった。4月22日に一軍昇格すると、巧みなバットコントロールで安打を量産。遊撃の守備でも球足の速いプロの打球に対応できるようになり、
田中広輔からレギュラーを奪った。夏場は疲労の影響もあったのか少し調子を落としたが、シーズン終盤に盛り返す。11月1日のヤクルト戦(神宮)は猛打賞を放ち、最終打席で安打が出れば打率3割に到達したが空振り三振に倒れたが、実りの多い年になった。来年は中心選手として攻守で牽引する。
外野一本で来季はブレークの年に

中日・根尾昂
・根尾昂(中日)
今季成績 72試合出場、打率.178、1本塁打、16打点、0盗塁
通算成績 83試合出場、打率.165、1本塁打、16打点、0盗塁
この3選手の中で高校時代に最も知名度が高かったのが根尾だった。大阪桐蔭で2年春、3年春、夏と全国制覇を達成。投げては最速150キロの直球を武器に春のセンバツ大会で史上初の2年連続優勝投手に。打撃でも俊足巧打で高校通算32本塁打と「二刀流」で躍動した。プロでは野手一本で勝負することを決断し、
京田陽太から遊撃の定位置を奪うことを誓ったが、一軍定着できない。課題は打撃に尽きる。今季はプロ入り後初の開幕一軍切符を勝ち取り、開幕戦に「八番・左翼」で先発出場。5月4日のDeNA戦(バンテリン)で、
大貫晋一からプロ初本塁打となる満塁本塁打を放ったが、打率が2割に届かず7月以降はファーム暮らしで、再昇格は叶わなかった。あこがれの
立浪和義監督が就任し、外野一本で勝負することが決定。打撃の確実性を磨き、来季はブレークの年にしたい。
主軸を担う可能性も

ロッテ・藤原恭大
・藤原恭大(ロッテ)
今季成績 78試合出場、打率.217、5本塁打、22打点、7盗塁
通算成績 110試合出場、打率.223、8本塁打、34打点、11盗塁
今年の成績が物足りなく感じてしまうのは潜在能力の高さゆえだろう。大阪桐蔭で1年夏から中堅の定位置をつかみ、3年時は四番として甲子園春夏連覇の原動力に。ルーキーイヤーの2019年開幕戦に「一番・中堅」で華々しくプロデビュー。高卒新人の開幕スタメンは球団史上3人目の快挙だった。昨年はシーズン終盤に活躍するなど26試合出場で打率.260、3本塁打、10打点。クライマックスシリーズでも活躍し、今季はレギュラー獲りが期待されたが、打撃の状態が上がらず、4月下旬から2カ月以上ファーム暮らし。7月に昇格すると、7、8月の全24試合に「二番・中堅」で出場し、打率.348、5本塁打、15打点で月間MVPを受賞したが、9月以降は快音が止まりスタメンを外れる機会が多かった。好不調の波を抑えれば、主軸を担う可能性を秘めている。
写真=BBM