今季期待されながらも結果を残すことができなかったが、「来季こそは」心に誓う男たちがいる。崖っぷちからの挑戦。パ・リーグ6球団の背水の陣から「復活」を目指す選手をピックアップする。 千葉ロッテマリーンズ
大きな期待を寄せられた2016年のドライチ・平沢大河も2022年でプロ7年目を迎える。20年10月に右ヒジを手術するなど故障にも泣き、同年はプロ入初の一軍出場なし。ファームでも56試合に出場し打率.142、1本塁打、10打点と苦しみ、再起を期して挑んだ今季もファーム100試合出場で打率.233、8本塁打で一軍昇格なしに終わった。2年遠ざかる一軍の舞台。その間、チームは両年ともリーグ2位と躍進を続け、
藤岡裕大に加えて助っ人・
エチェバリア、23歳・
小川龍成と若返りも進んでいる。待ったなしとなる勝負の7年目。野球人生を左右するシーズンへ闘志を燃やす。
北海道日本ハムファイターズ
来季プロ18年目のシーズンを迎える38歳のベテラン右腕は、2019年の日本ハムへの移籍を機に「金子弌大」としていた登録名を本名の「金子千尋」に戻すことを発表。21年は先発に再転向し8試合に登板(先発は6試合)するも、白星なしに終わった。「1年目と今年が0勝。また新たにスタートするという意味でも名前を戻そう」と4年ぶりに本名でシーズンをスタートさせる。来年で39歳、チーム内で最年長選手となる。「年齢も年齢ですし、まずは自分の結果を残すためにしっかり頑張りたい」。選手生命をかけた背水の陣となる来季、かつての沢村賞右腕が本名でもう一度輝きを取り戻す。
福岡ソフトバンクホークス
背水の陣から復活を目指す選手は意外に多く、
今宮健太も2022年を「今後の人生を左右する1年になってもおかしくない」というふうに語っていたりするが、やはり
藤本博史監督の下で“再輝”を期待したい筆頭選手は上林誠知だろう。18年に全試合に出場し、22本塁打、13盗塁で躍動していた姿は、もうない。19年のケガをきっかけに調子を崩し、今季はさらに出場機会を減らして39試合の出場。契約更改後の会見では、「ほぼ何もしていない」とこぼした。ただ、このまま終わるわけにはいかない。若手時代からマンツーマンで指導してくれた“恩師”が一軍監督になった以上、自らも再び一軍で戦力となることが何よりの恩返しだ。うれしそうに指揮官を胴上げする上林の姿を見たい。
オリックス・バファローズ
一軍復帰はお預かけとなっているのが黒木優太だ。2019年にトミー・ジョン手術を受けて育成選手となっていた右腕が昨季、再び背番号54を着けて支配下に復帰。だが、4月に右肩の違和感で再離脱。6月5日に実戦復帰を果たしたものの、ファームで17試合に登板して防御率6.19で一軍昇格なくシーズンを終えた。ドライチで
椋木蓮(東北福祉大)を獲得するなど、オフはブルペン補強に力を入れただけに、2022年は背水の陣。新人年の17年に55試合に登板した右腕が、再び働き場を得られるか。
埼玉西武ライオンズ
今季も“一番の座”をつかむことができなかった。開幕から11試合、トップバッターを務めたが打撃不振に陥り、打順降格。その後も上昇気流に乗ることができずに
若林楽人、
愛斗、
岸潤一郎、
川越誠司といった若手、中堅の成長の前に出番を減らしていった。結局、今季は101試合の出場で、打率.192、0本塁打、9打点。盗塁も9(盗塁刺9)に終わり、かつて2度の盗塁王に輝いた快足を存分に発揮することができなかった。来季に向けて発奮しなければいけない材料はある。11月30日に結婚を発表。「しっかり結果を出して、嫌な思いをさせないようにしたい」と誓う。競争を勝ち抜いて、レギュラーを奪い返してみせる。
東北楽天ゴールデンイーグルス
複数件契約を結んでいた
巨人時代の1億5000万円から5500万円減の9500円で契約を更改した(金額は推定)。シーズン中の7月に金銭トレードで加入し、楽天では51試合に出場。バットでは打率.219、3本塁打、8打点の成績を残した。「自分の中で納得はしていないし、いい位置にチームがいて優勝できなかった悔しさは当然ある」。すべては22年シーズンへの糧とするつもりだ。キャリア17年目のベテラン捕手として
太田光ら若手捕手へのアドバイスにも期待されるが、本人が目指すところはもちろんスタメンマスクだ。
写真=BBM