プロ入りへ誓う猛アピール

亜大は145キロ左腕・松本晴[左]と150キロ右腕・青山美夏人[右]が大学卒業後のプロ志望を表明している
2020年秋以来の東都大学リーグ制覇を目指す亜大の投手陣が、今春のリーグ戦で目指している数字は「チーム防御率1点台」である。
東都では今春から、勝ち点制(2勝先勝)が復活する。「エースとして1回戦、3回戦の先発を任せられるように、信頼される投手になりたい」と意気込むのは、150キロ右腕・青山美夏人(4年・横浜隼人高)だ。
美夏人は当初は「湊(みなと)」の予定だったが、7月19日生まれで、母・久美さんの思いもあり「美夏人(みなと)」と名付けられた。
高校時代は横浜隼人高・水
谷哲也監督から「挨拶や礼儀など、野球ができる感謝の気持ち」を学んだ。激戦区・神奈川で甲子園出場はならず「プロになるために、一番近い大学」と、生田勉監督による投手育成に長けた亜大へ進学。2年秋には最優秀防御率(1.11)でリーグ優勝に貢献した。ところが、3年春を前に右肩を痛め、春は1試合、秋は6試合登板も不本意な成績に終わった。シーズンオフも多い日は200球の投げ込みを継続し、肩とヒジのスタミナをつけた。100キロ台のカーブを駆使した緩急自在の投球が持ち味で、今春は「完投をしたことがないので、1試合を投げ切り、シーズン5勝を目指す」と意気込む。
下級生時代は2学年上の
巨人・
平内龍太、
楽天・
内間拓馬と同部屋で、意識の高い取り組みを吸収した。この春は防御率0点台で2回目のタイトルを獲得し、V奪還へ導く。そして、平内が4年時に計測した最速156キロを目指し、プロ入りへ猛アピールするつもりだ。
もう一人、プロを志望するのは145キロ左腕・松本晴(樟南高)だ。1年春に8試合、秋に5試合登板も、以降4シーズン(2年春はコロナ禍で中止)はマウンドから離れた。2年春の開幕前には左足首を痛め、手術により復帰まで約1年を要した。また、3年春の開幕前には左ヒジを痛め、4月にトミー・ジョン手術。リハビリを経て、8月からキャッチボールを再開し、12月からブルペンでの立ち投げ、そして新年の年明けからは捕手を座らせている。
故障期間にトレーニングと、楽天・
早川隆久を参考に下半身主導のフォーム固めに取り組み、レベルアップした手応えがあるという。大分開催である4月2日の開幕を照準に「一つでも、チームの勝利に貢献したい」と、地道にメニューを消化している。生田監督は亜大OBの
阪神・
高橋遥人を上回るポテンシャルと認め、サウスポーに期待を寄せている。
青山、松本とも完全復活となれば、多くのNPBスカウトの視線を集めるはずだ。昨年のドラフトでも右腕・
岡留英貴が阪神から5位指名を受け、亜大の投手育成力の高さをあらためて証明。後輩たちも、偉大な先輩の背中を追いかけていく。
文=岡本朋祐 写真=BBM