
阪神で本塁打王に輝いたのは86年のバースが最後だ
昨シーズンの阪神は、
近本光司が最多安打、
中野拓夢が最多盗塁のタイトルを獲得した。特に最多盗塁はこれで3年連続で阪神の選手が獲得と、まさに「お家芸」のタイトルとなっている。一方でご無沙汰なのが「最多本塁打」で、実は
ランディ・バースが三冠王になった1986年以降は獲得なし。阪神としては最も遠ざかっている打撃タイトルなのだ。今回は、こうした「最も遠ざかっている投打タイトル」を球団ごとに調べてみた。
巨人は2011年以降、盗塁王なし
まずはセ・リーグ6球団の「最も遠ざかっている投打タイトル」を以下にまとめてみた。
●
ヤクルト ・打撃タイトル
首位打者(前回獲得:2015年
川端慎吾)
・投手タイトル
最多奪三振(前回獲得:2000年
石井一久)
ヤクルトは前回優勝の2015年に打撃タイトルを総なめにしたが、首位打者はこのとき以降は獲得できていない。とはいえ、2015年からなのでそこまで遠ざかっているとはいえないだろう。投手タイトルは最多奪三振が最もご無沙汰で、2000年の石井一久以降は獲得者が出ていない状況だ。
●阪神
・打撃タイトル
最多本塁打(前回獲得:1986年 ランディ・バース)
最優秀防御率(前回獲得:2003年
井川慶)
冒頭でも挙げたように、阪神は1986年以降、最多本塁打のタイトルを獲得した選手は出ていない。2020年は
大山悠輔が
巨人の
岡本和真と最後まで争ったが、残念ながら3本差でタイトルを逃している。投手タイトルは最優秀防御率で、井川が獲得した2003年以降遠ざかっている。

巨人最後の盗塁王は11年の藤村
●巨人
・打撃タイトル
最多盗塁(前回獲得:2011年
藤村大介)
・投手タイトル
最多セーブ(前回獲得:2016年
澤村拓一)
最優秀中継ぎ(前回獲得:2016年
スコット・マシソン)
12球団随一の打撃力を誇る巨人だが、最多盗塁のタイトルが2011年以降で獲得なし。そもそも走るチームではないため、ここ30年で見ても2人と巨人の盗塁王は少ない。投手タイトルでは、最多セーブと最優秀中継ぎが共に2016年以降は獲得者が出ていない。
●
広島 ・打撃タイトル
最多打点(前回獲得:1997年
ルイス・ロペス)
・投手タイトル
最優秀救援(前回獲得:1991年
大野豊)
広島は「最多打点」が1997年以降は獲得者なし。強打者が多くいたチームではあるが、なぜか最多打点のタイトルには長らく縁がない。また、投手タイトルは最多セーブ(当時はセーブポイントの最優秀救援)が1991年の大野豊以来ご無沙汰。今季は、昨年37セーブとブレークした
栗林良吏の獲得なるか注目だ。
●
中日 ・打撃タイトル
最多打点(前回獲得:2009年
トニ・ブランコ)
・投手タイトル
最多セーブ(前回獲得:2012年
岩瀬仁紀)
中日は最多打点が2009年のブランコから獲得者なし。
アレックス・ゲレーロや
ダヤン・ビシエドといった強打者でも打点王には届いていない。投手は2012年にレジェンド・岩瀬仁紀がセーブ王になって以降はご無沙汰。新たな抑えのスター誕生が待たれる。
●
DeNA ・打撃タイトル
最高出塁率(前回獲得:2008年
内川聖一)
・投手タイトル
最多勝(前回獲得:1993年
野村弘樹)
打撃陣が好調なDeNAだが、長らく遠ざかっているタイトルが最高出塁率。2008年に内川聖一が獲得してからは誰も手にしていない。投手タイトルは最多勝のタイトルで、1993年から遠ざかっている。
ロッテは投打ともに長く遠ざかっているタイトルがある

ロッテは最多奪三振も95年の伊良部以降、ご無沙汰だ
続いてパ・リーグ6球団の「最も遠ざかっている投打タイトル」を紹介する。
●
オリックス ・打撃タイトル
最多安打(前回獲得:2011年
坂口智隆)
・投手タイトル
最多セーブ(前回獲得:2014年
平野佳寿)
最優秀中継ぎ(前回獲得:2014年
佐藤達也)
打撃タイトルは2011年の最多安打、投手タイトルは2014年の最多セーブ、最優秀中継ぎと、どちらもそこまでは長く遠ざかってはいない。リーグ優勝からは縁遠かったが、個人タイトルはコンスタントに獲得しているようだ。
●ロッテ
・打撃タイトル
最多本塁打(前回獲得:1986年
落合博満)
最高出塁率(前回獲得:1986年 落合博満)
・投手タイトル
最多奪三振(前回獲得:1995年
伊良部秀輝)
ロッテは阪神と同じく1986年以降、最多本塁打を獲得した選手が出ていない。また、最高出塁率も1986年以降なし。投手タイトルは打撃タイトルよりましとはいえ、それでも最多奪三振のタイトル獲得者が、1995年から出ていない。
●
楽天 ・打撃タイトル
最多安打(リーグ参戦の2005年以降獲得なし)
最高出塁率(リーグ参戦の2005年以降獲得なし)
・投手タイトル
最優秀中継ぎ(リーグ参戦の2005年以降獲得なし)
楽天は2005年にリーグ1年目を迎えた若いチームのため、最多安打と最高出塁率、最優秀中継ぎの3つが未獲得。それ以外のタイトルは獲得できているが、この3つだけは縁遠いようだ。
●ソフトバンク
・打撃タイトル
最多本塁打(前回獲得:2017年 アルフレド・デスパイネ)
最多打点(前回獲得:2017年 アルフレド・デスパイネ)
・投手タイトル
最多セーブ(前回獲得:2018年
森唯斗)
投打共に12球団トップクラスの選手を擁するソフトバンク。毎年のように所属チームの選手が多くのタイトルを獲得している。そのため、打撃タイトルは2017年、投手タイトルは2018年とどちらも大きく遠ざかってはいない。
●
日本ハム ・打撃タイトル
首位打者(前回獲得:2007年
稲葉篤紀)
・投手タイトル
最多奪三振(前回獲得:2011年
ダルビッシュ有)
最も遠ざかっている打撃タイトルは首位打者で、2007年の稲葉以降は獲得者なし。投手タイトルは最多奪三振。ダルビッシュ有が2011年に獲得してからは、同タイトルを獲得した日本ハムの選手は出ていない状況だ。
●
西武 ・打撃タイトル
最高出塁率(前回獲得:2013年
エステバン・ヘルマン)
・投手タイトル
最多奪三振(前回獲得:2005年
松坂大輔)
首位打者や最多本塁打、最多打点、最多盗塁はコンスタントに獲得している西武だが、唯一遠ざかっているのが最高出塁率。NPB2年目のヘルマンが獲得して以降は出ていない。また、投手タイトルは最多奪三振で、昨季現役を引退した松坂が獲得してから16年間も遠ざかっている。
12球団の「最も遠ざかっている投打タイトル」を紹介した。阪神の最多本塁打のように、遠ざかっているタイトルは、ある意味でチームの課題といえる部分。今季は「遠ざかっているタイトル」を獲得するような選手が出てくるのか、ぜひその辺りにも注目してもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM