まもなくキャンプが始まるが開幕に向けて注目されるのが、先発ローテーションはどのような顔ぶれになるか、だ。特に確定的な投手以外、徐々に力をつけてきた若手や近年ケガなどで力を発揮できなかった中堅などが台頭すればチームにとって大きな力になる。セ・リーグ6球団の「開幕先発ローテ入り」が期待される投手を見ていこう。 読売ジャイアンツ
昨季終盤は先発6番手が定まらず中4、5日で回したが、思うように機能せず失速。
原辰徳監督は今季の先発ローテーションについて「基本は6人」としつつも、柱となる4人を中心にローテを組む構想を明かしている。残り2枠は若手を中心とした争奪戦になるだろう。即戦力の新人に昨季のドライチ・
平内龍太、トミー・ジョン手術から復活を目指す
山崎伊織などがその座を狙っているが、昨季はシーズン序盤に中継ぎへ回った畠世周にも再びチャンスが巡ってくるはず。自身も「ここと言われたところを全うする」と言いながらも「希望は先発」と先発復帰の思いを抱いている。いずれにしても若手によるハイレベルな争いが繰り広げられることが理想だ。
阪神タイガース
現状の阪神は5枚の先発枠は埋まっている。6人目に滑り込むには、起用されたときに結果を残していくしかない。その中で期待されるのが高卒3年目の西純矢だ。昨季5月19日の
ヤクルト戦(甲子園)で初先発し、5回無安打無失点でプロ初勝利も先発に定着できず。しかし、ファームでは規定投球回数に到達し6勝3敗の成績を残した。9月からはシンカーも投げ始め、オフは課題のコントロールを良くするために投球フォーム固めに励む。力投型の少ない先発陣で、西純が定着すればさらに厚みを出す。そのためにはキャンプ、オープン戦で安定した投球内容が求められる。高校ビッグ4と言われた同僚の
及川雅貴は一軍で経験を積み、ヤクルトの
奥川恭伸、
ロッテの
佐々木朗希は活躍。さらには
オリックスの
宮城大弥も昨季13勝と同年代が大活躍している。22年こそは西純も輝く番だ。
東京ヤクルトスワローズ
昨季、大学のリーグ戦で無敗の実績を引っ提げてドラフト2位で入団した山野太一。即戦力として期待されたなか、開幕先発ローテーション最後の1枚を勝ち取った。しかし、デビュー戦はまさかの2回途中7失点でノックアウト。その後は二軍調整が続き、一軍での登板はこの1試合のみだった。今季、左腕では
高橋奎二や
石川雅規、新外国人の
アンドリュー・スアレスが開幕先発ローテ争いを繰り広げることが予想されるが、山野は春季キャンプ二軍スタート。持ち味の高いゲームメーク能力を発揮するには先発のポジションが一番。先発ローテ入りを果たすため、数少ないチャンスをものにする。
広島東洋カープ
昨季の規定投球回到達投手3人はいずれも右腕。先発ローテーションの柱となる左腕の出現が待たれる中、昨季は
玉村昇悟が飛躍のきっかけをつかみ、今季に向けては
黒原拓未、
森翔平という即戦力ルーキーを獲得した。ただ、そんな若手に負けられないと闘志を燃やすのが、6年目を迎える床田寛樹だ。左ヒジ手術から復活し、昨季まで3年連続で開幕ローテーションに名を連ねるも、シーズンを完走できた年はなし。勝ち星も2019年の7勝が最高で、ここ2年は5勝止まり。自身初となる2ケタ勝利への思いは強い。ここまでの調整も順調に来ており、「キャンプの初日からバンバン投げられるようにしたい」。今季はひと味もふた味も違うところを見せる。
中日ドラゴンズ
三本柱は決まっている。
柳裕也、
大野雄大、
小笠原慎之介。昨年の開幕投手となった
福谷浩司、左の
松葉貴大も当確だろう。
ヤリエル・ロドリゲスに
勝野昌慶も控え、先発陣は左右のバランスを考えても充実している。この競争の輪に飛び込んでもらいたいのが、4年目の梅津晃大だ。自ら申し出て背番号18に変更した昨年は、わずか3試合の登板と不完全燃焼。故障のない体づくりに制球力と課題は多いが、伸びのあるストレートは大きな魅力。梅津が先発の5~6番手に入れば、先発ローテーションはさらに厚みを増す。このオフはフォーム改善とパワーアップを求めて汗を流した。今季はルーキーイヤーに挙げた4勝をクリアし、2ケタ勝利が目標となる。
横浜DeNAベイスターズ
頼もしい存在が先発ローテーションに加わる。5年目の東克樹は昨季、トミー・ジョン手術からの復帰を果たし、3試合目の登板となった10月23日の中日戦(横浜)で2年ぶりの白星を手にした。8回90球、1安打無失点と完璧な内容だった。マウンドに上がれば、
今永昇太、
大貫晋一と並んで試合をつくれる投手であることは間違いない。あとはシーズンをとおして安定したパフォーマンスを発揮できるかどうか。「1年間ケガなく先発ローテーションを守り切る」。2018年に2ケタ勝利を挙げ新人王に輝いた左腕が、強い決意で22年シーズンに挑む。
写真=BBM