チームで最初に打席に入り、打線を勢いづける一番打者。勝利のために重要な役割になるが、果たして、今季の一番打者構想は? セ・リーグ6球団の「一番打者」はこの選手だ! ※記録は3月14日現在 読売ジャイアンツ
「一番打者」問題は長年の課題だ。昨年、
梶谷隆幸を獲得したことで解決したはずだったが、またも
原辰徳監督の頭を悩ませている。その梶谷は昨オフのヘルニア手術により出遅れが濃厚。昨季、一番に定着した
松原聖弥も出塁率という点で信頼をつかみ切れず、打撃不振もあって二軍落ちとなった。そこで浮上しているのが「強打の一番打者」構想。オープン戦では丸佳浩、
坂本勇人の一番起用を試している。一方、「一番によって二番が変わる」とも言っており、一番が強打者なら二番には「バント、つなぎ」が求められる。これまでの基本線だった「強打の二番=坂本」も含め、開幕まで最適解を模索していくことになる。
阪神タイガース
昨季のリーグ最多安打に輝き、阪神の中でも3年連続最多安打を放っている近本光司。その抜群のミート力から三番という構想もあるが、打線の流れを考えるとやはり一番に入るのがしっくりくる。2年連続開幕直後に不振となっているだけに、今年はその課題を払しょくしようとバットを振り続ける。オープン戦ではここまで打率.280とまずまず。あとは開幕に標準を合わせ、しっかりと調整していく。目標は200安打に100得点。昨年後半につかんだ打撃を今季も再現できれば、恐怖の一番打者として、君臨することになる。
東京ヤクルトスワローズ
昨季一番打者として98試合に出場し、ベストナインを獲得するなどキャリアハイの成績を残した塩見泰隆。トリプルスリーを目標に掲げる中で、前年リーグワースト2位だった三振数を減らすべく、キャンプでは打撃改造に取り組んだ。取り組みは着実に結果として表れ、コンタクト率はアップ。オープン戦では
ソフトバンクのエース・
千賀滉大から先頭打者本塁打を放つなど、持ち味のパワーを消すことなく好調を維持している。不動のリードオフマンは、パワーアップした姿で今年も強力打線の先頭を突っ走る。
広島東洋カープ
昨季は10人が起用され、最多起用は
菊池涼介の58試合。今春のオープン戦も菊池涼の起用が最多だが(3月14日現在、6試合)、
佐々岡真司監督はさまざまな構想を思い描いている。その一つが西川龍馬の起用だ。昨季は主に三番を任されていた西川だが、高い出塁率がチャンスメークにひと役買うとあって、「一番で出塁率、また三番の中軸でも。それだけ相手の投手には嫌がられる存在」と指揮官。確かに一軍合流してからは、オープン戦打率、出塁率ともに.381と好調を維持している。主砲・
鈴木誠也が抜けて得点力不足が心配される攻撃陣。着実に1点を奪うため、一番打者から仕掛けていく。
中日ドラゴンズ
高卒3年目の岡林勇希が濃厚だ。オープン戦では主に一番スタメンで名を連ね、右翼のポジションに就いている。両翼はキャンプから激しいポジション争いが繰り広げられ、右翼は
根尾昂、
平田良介らが参戦していたが、現時点では岡林が一歩リードしている。三重県の菰野高時代は投手。入団と同時に「投手よりもチャンスがある」と野手に転向し、ひたすらバットを振り込んだ。
立浪和義監督も「タイミングや間の取り方ができている」と絶賛。元投手だけに肩も強く、足もあり、期待の若竜だ。1月に成人式を終え、2月22日の誕生日で20歳になったばかり。小柄だが、巧みな打撃センスでトップバッターに定着したい。
横浜DeNAベイスターズ
昨季135試合に出場し、打率.310、14本塁打とキャリアハイを更新した桑原将志がリードオフマンを務める。2017年には不動の一番として日本シリーズ進出の原動力となり、ゴールデン・グラブ賞を獲得したが、近年は打撃不振で二軍で過ごす時期も長かった。しかし、昨季は打撃が開眼。コンタクト重視の打撃へのモデルチェンジが復活につながった。オープン戦では11試合で打率.115と本来の当たりが出ていないが、シーズン開幕には合わせてくるだろう。
写真=BBM