「佐倉がホームランを打つ前には……」
広陵高の2年生四番・真鍋は敦賀気比高との1回戦で3安打1打点の活躍を見せた
■第2日第1試合(3月20日)
広陵(
広島)9−0敦賀気比(福井)
春2度のセンバツ制覇へ導いた実績のある広陵高・中井哲之監督が、2年生四番・
真鍋慧につけた愛称は「ボンズ」。MLBで歴代最多762本塁打を放った元ジャイアンツのスラッガーになぞらえ、ネーミングされた。
異次元の飛距離。そして、抜群のスイングスピード。敦賀気比高とのセンバツ1回戦を控え、真鍋は「夢舞台。少しは緊張していました」と、初めて甲子園の打席に立った。
1点を先制して一死三塁で迎えた初回の第1打席は三邪飛。やや力みが見られたが、第2打席以降は冷静さを取り戻し、修正してきた。
「チームとして、逆方向を徹底してきました。逆方向にどんどん飛ばしていけば、引っ張っても飛ぶと思うので、(練習から)強い打球を逆方向に打つように取り組んできました」
右前打、左犠飛(1打点)、右前打、中前打。3安打1打点でチームの初戦突破(9対0)に貢献した。待望の本塁打は出なかったが、自身の打撃をこのように自己評価している。
「3本打てたことは良かったですが、持ち味の長打を発揮できなかったので、そういうところでは……。インコースの真っすぐ、スライダーに対して柔軟に対応できたので良かったです」
広陵高は17安打と打線が活発だった。左打者3人が並ぶクリーンアップは全国トップレベル。この試合で三番・
内海優太(3年)は3安打2打点、五番・田上夏衣(2年)も3安打1打点と機能した。敦賀気比高のエース右腕・上加世田頼希(3年)は三番・内海に対して相当、警戒していた。そして、気が休まることなく、四番・真鍋を迎えるのである。
「内海さんのときに(相手バッテリーは)神経を使うので、自分に甘い球が増えてくる。しっかりととらえていきたいと思います」
2回戦では九州国際大付高(福岡)と対戦する。相手四番は2年生・佐倉俠史朗。花巻東高・
佐々木麟太郎(2年)とともに今大会、注目を浴びている左の大砲3人衆である。「チームが勝つことが最優先なので、プレッシャーを感じずにやっています」。広陵高の勝利のためにフルスイングすることが大前提であるが、真鍋は負けん気の強さをのぞかせた。
「佐倉がホームランを打つ前には、打ってやろうと思います」
この日のすべて単打の3安打は、豪快なホームランの伏線のような気がする。「ヒットの延長が本塁打」とはよく言われる。練習はウソをつかない。2回戦以降に、大きな期待を持たせる充実の打席内容だった。
写真=宮原和也