4月1日から学生を指導

昨季までJFE東日本でプレーした須田氏[元DeNA]は4月1日、横浜商大のコーチに就任した
豊富なキャリアを大学野球界に落とし込む。
須田幸太氏は4月1日から横浜商大のコーチとして、指導者人生をスタートさせた。
土浦湖北高、早大、JFE東日本を経て、2011年ドラフト1位で横浜(現DeNA)に入団。18年までプレーし、NPB通算166試合で16勝、1セーブ、37ホールドを挙げた。古巣・JFE東日本に復帰した19年の都市対抗では、リリーフエースとして初優勝へ導き、黒獅子旗を奪取。大会MVPに当たる橋戸賞を受賞し、社会人年間表彰においてもベストナイン、最多勝利投手賞を受賞した。21年はコーチ兼任で、都市対抗南関東予選までは指導のほうにウエートを置き、同予選以降は選手として力を発揮。都市対抗本戦では8強進出に貢献した。
昨季限りでユニフォームを脱ぎ、社業に専念する中で、指導者への道を模索。昨オフには学生野球資格回復のプロとアマの研修を受講し、適性審査を経て、今年2月2日に認定された。縁あって、横浜商大のコーチに就任。平日は事務職の会社員として働き、休日は学生と向き合う多忙な日々を過ごしている。
「仕事は覚えることがたくさんあり、日々、頭を使っています(苦笑)。大学生を教えるという経験を積みたかったので、ありがたいチャンスをいただいたと思っています」
須田コーチが、学生たち教えたいことは何か。ポイントは3つある。
まずは、トレーニング。
ランニングメニューを一新した。これまでは一定のメニューを消化していたが、ジャンルを分け、より内容の濃いものに変更した。
「トレーナーではありませんが、プロ、社会人と接してきた中で、知識はあります。どのタイミングで走らせるか? また、試合を逆算した調整法などを伝えています」
そして、コミュニケーション。明るい性格であり、すぐにチームに溶け込んだ。しかし、そこには「須田流」が味付けされている。
「僕からどんどん行くタイプなので……。野球以外の話は自分のほうから発信していますが、野球のことは、学生のほうから聞いてきてほしいと考えています。今の時代、自分で考え、実践し、成長するのが理想だと思う」
最後に、技術指導である。
「大学時代は、130キロ中盤のボールで勝負していました。140キロが出なくても、乗り切る方法はある。その基本として、投手として永遠の課題である、四球を減らすこと。コントロールの部分が大事になってきます」
伝え方は模索中
コーチとしての難しさにも直面している。
「感覚で言うとダメなんです。学生からも『須田コーチだからできる』で完結してしまいますからね。伝え方は、模索中です。指導者としては一から勉強です」
試合中は横浜商大・井樋秀則監督の横で戦況を見守る。投手交代の最終決断は指揮官だが、須田コーチは助言する立場にもある。
「ウチの投手陣は、伸びシロしかないです。自滅をしなければ、優位に試合を展開できる。横浜商科大学のために、全力でサポートしていきたいと思います」
平日も井樋監督、野本健二コーチ、学生コーチと密に連携を取り、情報収集していく構え。度胸満点だった現役時代のマウンド同様、コーチとして熱血指導を貫いていく。
文=岡本朋祐 写真=BBM