パのセーブ記録を更新

初めてセーブ王のタイトルに輝いた98年の大塚
1998年、プロ2年目を迎えた近鉄の
大塚晶文。前年までのクローザー・
赤堀元之の代役でスタートしたが、これが見事にはまった。開幕から7試合連続セーブをマークし、6月には1勝6セーブで月間MVPを受賞。そのまま1シーズン、クローザーとしてベンチ入りして49試合に登板した。10月7日、シーズン最終日の
西武戦ダブルヘッダー第1試合で35セーブ目を記録。
江夏豊(
日本ハム)、
森繁和(西武)の持つ34セーブのパ・リーグ記録(当時)を更新、初のセーブ王に輝いた。
この大塚、ゲン担ぎにはこだわりがあった。シーズン中に行われた週刊ベースボールのインタビューで「ゲン担ぎは本当にいっぱいあるんですよ。全部言いましょうか」と笑い、そのすべてを明かしていた。
「まず朝起きたら神棚にお祈りする。それからご飯を食べる箸の色もインスピレーションで決めます。基本は赤、それも真っ赤な燃える赤で、朝から気合を入れてご飯を食べるんですよ(笑)。球場に行くコースもいつも一緒です。絶対に変えませんね」
さらに、「球場入り後の調整パターンも決まっているんですか」の問いには以下のように答えた。
「はい。1回裏が終わったらマッサージを受け、5回にバナナを食べて牛乳を飲む。そのあとブルペンに行くにもジャンパーをきちんとたたみ、バスタオルをちゃんと四隅をつけて折り、さらにウイダーインゼリーをグラブに入れてからですね、この荷物を置く場所もきちんとあって、誰もそこには置かない」
さらに言葉が続く。
「練習で投げるボールも一番左隅のボールといつも決まっています。ブルペンも3つあるうちの必ず真ん中。11球目のとき、キャッチャーに『11球!』って言ってもらうんですよ。背番号11なんで。そのとき僕は『よっしゃー!』って掛け声を上げるんです。それで出番を
コールされたら荷物を持って『よっしゃ、よっしゃ』と言いながら通路を歩いていきます。ベンチの決まった場所にジャンパーを置いて、エビアンを一口飲んでからマウンドに向かう。これを毎試合やってますからね(笑)」
日米通算176セーブを挙げた大塚。細かいこだわりがあったからこそ、プレッシャーのかかるクローザーの役割を全うすることができたのだろう。
写真=BBM