開幕から1カ月、12球団で唯一、連敗なしで乗り切った楽天。好調な打線をけん引するのは、新加入の西川遥輝だ。中軸にも当たりが出始め、得点力は確実に増している。 走塁面に見られる変化

出塁すれば次の塁をうかがう西川。本塁にかえる機会も増えている
4月24日の
西武戦(ベルーナ)に敗れ、今季初のカード負け越しを喫した。それでもこの時点で連敗はなく、地道に貯金を積み重ねている。打線の中で効いているのはやはり、新一番打者の西川遥輝だろう。昨オフに
日本ハムを自由契約になったあと、楽天に加入した。
8日の日本ハム戦(札幌ドーム)では追加点となる適時打を放ったあと、すかさず二盗に成功した。「あのタイムリーは大きかったし、あれだけ警戒されている中で走れるというのは、本当にいい選手だなと思います」。
石井一久GM兼任監督は手放しで称賛した。ここまで6盗塁はリーグ2位タイ。
山崎剛も引っ張られるように6盗塁と並ぶ。チーム盗塁数はここまでリーグ2位の16。昨季はリーグワーストの45だっただけに、走塁面でこれまでのチームには見られなかった変化が起きている。
また、チーム打率.243、84得点はいずれも
ソフトバンクに次ぐリーグ2位の数字と、序盤戦では攻撃力が際立っている。その中で西川は打率.343、3本塁打、6盗塁、18四球がチームトップと絶好調。15打点は
浅村栄斗に次ぐ2位と、チャンスメークもでき、ポイントゲッターにもなっている。開幕当初はおとなしかった浅村も調子を上げてきており、チームトップの24安打、18打点と本領を発揮しつつある。
昨季途中から遊撃のレギュラーに定着した山崎が打率1割台と低迷すると、21日の日本ハム戦(楽天生命パーク)からは、新型コロナ陽性判定で離脱していた
小深田大翔が入れ替わる形で二番・遊撃でスタメン復帰。すると走者一掃の適時二塁打を放つなど、いきなり期待に応えてみせた。このように若手選手がレギュラー争いを演じる中で確かな成長を見せているのもプラス要素だ。

浅村の調子も上がってきた。持ち前の長打力を発揮して勝利に貢献する
助っ人では中軸での活躍が期待された
ギッテンスが5日の西武戦(楽天生命パーク)でデビューするも、3回の第2打席で空振りすると、左手首を痛めて途中交代。のちに骨折が判明し、長期離脱を避けられない大誤算となった。それでももう1人の
マルモレホスは、16日のソフトバンク戦(北九州)で来日初本塁打を放つなど、日本球界に適応しつつある。打線は完成形と言えないまでも、現有戦力で補っている。
快進撃を支える先発陣
投手陣もまた、アクシデントに見舞われながらも奮闘を見せている。先発では
岸孝之、
田中将大、
早川隆久、
涌井秀章がここまでに2勝をマーク。打線の援護に恵まれない試合も見られるが、早川は防御率0.86、田中将は2.05、岸は1.35。いずれも3試合連続クオリティースタートと抜群の安定感を見せている。
則本昂大は開幕戦で敗戦投手となったあと、1日に新型コロナ陽性判定により離脱した。21日のイースタン・
ヤクルト戦(森林どり泉)に先発して4回7安打4失点。24日に一軍へ合流した。石井GM兼任監督は「彼にはカード頭で投げてほしいので、そのへんをイメージして、次回の登板に備えてほしい」と青写真を語る。
なかなかフルメンバーがそろわない中で首位をキープしているのは、上々の結果と言える。後半に失速した昨季の反省を生かし、長いシーズンで戦力を維持したいところだ。
写真=BBM