開幕してから約1カ月が経過したセ・リーグ。連日熱戦が繰り広げられているが、果たして各球団は順調に戦うことができているのか。セ・リーグ6球団の現状を100点満点で採点した。 ※記録は4月25日現在 読売ジャイアンツ

守護神として力を発揮している巨人のドラフト1位・大勢
1位・巨人 90点
絶好のスタートを切ったと言っていい。早くも2度の6連勝。ここまで3連敗はなく、4月19日からの
広島、
中日との上位対決を5勝1敗で駆け抜けて首位の座を固めつつある。コマ不足を不安視されていた投手陣は「新顔」たちが奮闘。先発ではドラフト3位の
赤星優志に
山崎伊織、
堀田賢慎が戦力となり、抑えとしてフル回転するドライチ右腕の大勢を筆頭に
鍬原拓也、
今村信貴などガラリと顔ぶれの変わったリリーフ陣がブルペンを支えている。攻撃陣では一番に
吉川尚輝がピタリとはまったことで打線に芯が通った。
坂本勇人、
岡本和真、
丸佳浩と主軸のバットが振れているのはもちろんだが、G.
ポランコとA.
ウォーカーの新助っ人2人が戦力として機能していることも大きい。投手陣の踏ん張りに攻撃陣が応えるという好循環は、18勝のうち10戦が逆転勝ちという数字にも表れている。粘り強さと勝負強さを手に入れただけに急失速は考えにくい。今後もペナント争いの中心となっていくはずだ。
広島東洋カープ

五番で勝負強さを発揮している広島・坂倉将吾
2位・広島 85点
下馬評を覆し、開幕から6連勝。途中連敗などもありながらも、ここまで15勝9敗1分と
佐々岡真司政権下では珍しい貯金生活を送っている。何と言っても、主砲・
鈴木誠也が抜けて不安視されていた打線が、新たな形を見出したことが大きい。つないで、つないで、着実に得点を重ねていく。特に開幕から4月22日まで不動だった
西川龍馬と
菊池涼介の一・二番コンビに、プロ10年目で初の開幕スタメンから、打ってはもちろん、粘って出塁するなど何でもできる
上本崇司が、指揮官の起用にうまくハマった。五番の坂倉将吾に関してはここまで得点圏打率5割という勝負強さだ。投げては12球団屈指のクオリティースタート(6投球回以上で自責3以下)率を誇る先発陣に、ここ数年課題だった中継ぎ陣も
中崎翔太が復活、ドラフト1位左腕・
黒原拓未&同5位右腕・
松本竜也も加わって厚みを増している。
小園海斗をはじめ一部本調子ではない選手もいるものの、チームが一丸となってもたらす勢いは、まだまだ衰えそうにない。
中日ドラゴンズ

立浪和義新監督が率いる中日はまずまずのスタートを切った
3位・中日 80点
開幕カードとなった敵地での巨人戦を1勝2敗と負け越し、続く本拠地・バンテリンドームでの
DeNA戦はまさかの3タテを食らった。1勝5敗の借金4と最悪の船出となった新生・立浪ドラゴンズだったが、その後の10試合を8勝2敗で逆襲に転じた。先発では
柳裕也が2試合連続の完投勝利、一軍デビューを飾った2年目の
高橋宏斗もすでに2勝をマーク。リリーフ陣では
ロドリゲスや
清水達也が奮投し、最後は
R.マルティネスで締めて接戦をものにしている。打線は
高橋周平の代役として
阿部寿樹が活躍。主砲の
ビシエドの調子は上がってこないが、ベテランの
大島洋平が首位打者を走り、
石川昂弥や
岡林勇希、
鵜飼航丞の新戦力がチームを勢いづけている。昨年よりも投打のバランスが良く、ここまで12勝10敗の貯金2。最高とまでは言えないが、まずまずのスタートだ。
東京ヤクルトスワローズ
4位・ヤクルト 70点
阪神相手に開幕3連勝でスタートダッシュを決めると思われたが、直後にまさかの4連敗。その後も波に乗れず、24試合を終了して12勝12敗、順位は4位につけている。しかし、正捕手の
中村悠平が開幕から不在で、
奥川恭伸、
サンタナが故障で戦列を離れた状況下での勝率5割は、粘りを見せていると言える。サンタナの離脱以降、リードオフマンの
塩見泰隆を五番に組み込むなど、日替わり打線で戦う毎日だが、攻撃のバリエーションが増えたと捉えれば、チームにとってはプラス材料ともとれる。4月22日のイースタン・DeNA戦(戸田)では、中村が実戦復帰。正捕手の完全復帰まで、最低でも勝率5割をキープしていたい。
横浜DeNAベイスターズ

レギュラーがそろわない中、新加入の大田泰示の存在感が光るDeNA
5位・DeNA 30点
左腕・
今永昇太に加えて、打線の軸である
オースティン、ソトが不在という飛車角落ちで開幕を迎え、広島に3連敗。それでも2カード目の中日に3タテを食らわし、限られた戦力ながら投手陣が試合をつくり、少ないチャンスをものにしていく展開に、最下位だった前年とは違う姿が見られたのだが……。しかし、4月に入って新型コロナウイルスの猛威がチームを襲う。
牧秀悟、
桑原将志ら野手陣に加えて、
濱口遥大、
山崎康晃ら投手陣からも感染者が続出。さらに、ケガのソトは合流したものの、オースティンが右ヒジ手術で前半戦の合流が絶望的と苦しい状況の中、勝ち切れない試合が続く。離脱者の復帰を待って、チームを立て直して浮上につなげたい。
阪神タイガース

開幕戦で逆転負けの阪神ベンチ
6位・阪神 10点
ここまで26試合を終えた段階で5勝20敗1分。しかも25試合目での20敗は1991年の27試合目を超える球団史上最速だ。優勝を目指せるだけの戦力があるだけに、その落差にファンも驚きと嘆きが交差している。ここまでの失速を招いたのは、やはり京セラドームでの開幕戦でヤクルトに7点差をひっくり返されて負けたことが大きな要因だろう。クローザーに不安が残る中で打線も低迷し、安定した戦いができなくなっていた。唯一の救いは2年目の
佐藤輝明が四番、三番、二番と打順が固定されない中でリーグトップタイの6本塁打に打率.297と安定していることだろう。あとは勝ちパターンの中継ぎ&クローザーを確定させ、各打者の調子が上がってくれば、巻き返せる可能性が出てくるはずだ。
写真=BBM