ほぼ1試合に1得点のペース

リードオフマンである西川の「得点力」は楽天の大きな力となっている
以前に盗塁成功率でも取り上げたが、
日本ハムから楽天に移籍した
西川遥輝が好調だ。5月10日時点で打率はリーグ7位の.295だが、29四球はリーグトップで、出塁率は
オリックス・
吉田正尚の.453に次ぐ.441をマークしている。その結果、リーグトップの28得点を稼いでおり、首位を走る楽天のリードオフマンとしてまさに打線をけん引している。
もともと西川の選球眼には定評があった。リーグ最多四球は2度、出率4割超えも2度記録している。打率.233と苦しんだ昨季も出塁率は.362だ。68得点はさすがに物足りなかったが、一番打者として最低限の仕事はしていたとも言える。
今季はここまで31試合で28得点。ほぼ1試合に1得点ペースだ。まだ気は早いが、打撃部門における最古のシーズン記録の一つである1950年
小鶴誠(松竹)の143得点に並ぶペースだ。この年の松竹は137試合を戦い、小鶴の出場は130試合だったから単純比較はできないが、西川がこのペースを守ったままシーズン終盤を迎えれば、話題に上ることは間違いない。
得点は「本塁へ生還した回数」だ。ホームランを打てば必ず「1」が記録されるため強打者が稼ぎやすくなるが、出塁率が高く、一つでも先の塁へ進む能力があればホームを踏むチャンスは増える。通算得点数を見ても強打者ばかりではなく、巧打者&俊足選手も上位に顔を出している。韋駄天・
福本豊(阪急)がその筆頭格、
張本勲(
巨人ほか)もその系譜に名前を入れていいだろうか。
石井琢朗(横浜ほか)も10位にいる。
もちろん通算得点数はキャリアの長さがモノを言うため、西川は729得点で131位に過ぎないが、1試合平均の得点数を出してみるとトップ10の面々にも見劣りしないことが分かる。高い出塁率に俊足、加えてここまでは5本塁打、長打率.545とパンチ力も発揮している。この先、西川がどれだけ得点を重ねていくか。シーズン記録に迫ることはできるのか。チームの勝利に直結するスタッツだけに、これからも注目していきたい。
写真=BBM