「いつもどおりに投げられました」
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明治学院大の左腕・大川は帝京大との一部二部入れ替え戦1回戦で完封した
【6月11日】一部二部入れ替え戦
明治学院大3-0帝京大 明治学院大1勝
首都大学リーグの一部二部入れ替え戦が6月11日、日体大健志台球場で行われ、27季ぶりに二部優勝した明治学院大が3対0で一部6位の帝京大に先勝した。
チームを勝利に導いたのは帝京大打線をわずか1安打に抑えて完封した左腕・大川航希(4年・志学館高)だ。志学館高時代は2年秋にエースとなり、3年夏の東千葉大会では4強進出。明治学院大には野球での推薦ではなく指定校推薦で入学し、1年春にリーグ戦デビュー。同年秋には先発に定着し、チームをけん引してきた。この冬は「これまで7回くらいで降板することが多かったので、最後まで投げ切れる体力を付けるために、ウエイトトレーニングやダッシュを繰り返してきました」と振り返る。
今春はチームの開幕戦となった玉川大戦で先発を任され、8回途中まで投げて1失点。勝利投手になったのを皮切りに、5試合に先発して3勝(1敗)を挙げ、二部制覇に貢献。
「今春は最初から優勝だけが目標でした。この春は選手同士が互いに信頼し合っていて、打線が打てなくても『いつか打ってくれる』と信じて、粘ることができましたし、逆に打線に僕ら投手陣が助けてもらうこともありました」
帝京大との入れ替え戦1回戦では「試合前は緊張しましたが、マウンドに上がってしまえば『やることをやるだけ』なので、いつもどおりに投げられました」と本人が一番の長所と語るメンタルの強さを発揮。ストライク先行のピッチングで凡打の山を築いた。
「今日はストレートが良くファウルでカウントが取れました」
変化球もカットボール、スライダー、チェンジアップ、そして、緩急を付ける90キロ台のカーブを巧みに操り、7回までノーヒットピッチング。8回表、先頭打者に「まだヒットを打たれていないことに気づいたら、打たれました」と初安打を許すも、動揺することなく後続をピシャリ。9回表はエラーで無死二塁のピンチも「1点は取られても良いので目の前のバッター勝負でいきました」と相手の上位打線を抑えてみせた。
初回から飛ばしていったというが、課題だったスタミナ面を克服し「相手はみんな一部のバッターなので胸を借りるつもりでしたが、やってきた練習が身になりました」と見事に一人で投げ切ってみせた。
現在は一般企業への就職活動中とのことで、野球は大学で区切りを付けることになる大川。それだけに「もう一つ勝って、秋は一部でプレーしたい」とあと1勝に迫った一部昇格へ意欲を燃やしている。
取材・文=大平明 写真=BBM