開幕してから3カ月が経過したセ・リーグ。首位・ヤクルトが2位・巨人に11ゲーム差をつけるなど、早くも独走態勢を築いている。果たして各球団は順調に戦うことができているのか。セ・リーグ6球団の現状を100点満点で採点した。 ※記録は6月27日現在 東京ヤクルトスワローズ
投打ともに安定感が際立つヤクルト
1位・ヤクルト 95点
全11球団連続勝ち越しという史上初の大記録を成し遂げたヤクルト。ここまで2位・巨人に11ゲーム差を離す独走状態でリーグ首位に立つなど、予想以上の快進撃が続いている。戦力は投打ともに充実しており、チーム防御率はリーグ2位、チーム打率は同1位タイ。特に投手陣は
高津臣吾監督の下、先発・リリーフともに余裕ある起用法が続いており、他球団に比べ余力も十分。打線ではリードオフマンの
塩見泰隆、三冠王も視野に入る主砲・
村上宗隆を筆頭に昨年同様のつながりを見せており、
長岡秀樹や
内山壮真といった若き新戦力の台頭もめざましい。付け入る隙がまったく見当たらない高津スワローズ。連覇へ着実に歩みを進めている。
読売ジャイアンツ
守護神・大勢につなぐまでの形を確立したい巨人
2位・巨人 40点
かろうじてリーグ2位の座を守っているが、4月のうちに両リーグ最速で20勝に到達して貯金11としたことを思えば、現状はあまりにも寂しい。
坂本勇人や
吉川尚輝の故障離脱で思うように打線が組めない時期もあったが、A.
ウォーカーとG.
ポランコの新助っ人が機能したことで打線の迫力は増した。問題はやはり投手力にある。特に中継ぎ陣だ。いつまでたっても勝ち継投が確立できず、抑えの大勢につなぐことがままならない。先発陣が早々に崩れた際も相手の流れを食い止めることができずに傷口を広げるばかりで、粘り強さとは程遠い。リリーフ防御率4.11、327失点はともにリーグワースト。得失点差はマイナス23で、2位にいるほうが不思議な状況だ。それでもまだ貯金があるのは救い。早急にリリーフ陣を立て直してヤクルト追い上げの状況を整えたい。
広島東洋カープ
三番に入る菊池が攻守でチームを引っ張っている広島
3位・広島 50点
今季もやはり鬼門だった。5月24日から始まった交流戦。毎年苦手としているだけに勝ち越しとぜいたくなことは言わず勝率5割でもと思っていたが……。結果は5勝13敗と3季連続の最下位(※2020年は開催中止)。交流戦までリーグトップの打率.261、202得点を誇っていた打線が一転、交流戦では12球団ワーストの打率.217、16年に
阪神が記録した44得点を下回るワースト記録の33得点。最大7あった貯金も全部吐き出し、借金生活に。リーグ戦再開後も首位・ヤクルトに力負けし、このままズルズル落ちていくかに思われた。しかし、お得意様・阪神を相手に連敗を止めると、6月21〜26日は5連勝だ(1分けを挟む)。下半身のコンディション不良で離脱中の
西川龍馬が復帰のメド立たずというアクシデントも、代わって三番に入った
菊池涼介が攻守にチームを引っ張る活躍ぶり。また、一時調子を落としていた
上本崇司も粘り強い打撃が復活で、リーグ戦再開からの連続安打を9試合に伸ばしている。ヤクルトとは12ゲーム差あるが、チーム一丸で食らいついていく。
阪神タイガース
大山の打棒爆発もあり6月は好調だった阪神
4位・阪神 50点
1カ月ごとの採点を考えると3、4月は20点、5月は50点、6月は85点となる。それを頭に置いて、3カ月間の採点を総合的に考えると現状は50点。やはり9勝20敗1分けだった3、4月、特に開幕戦での大逆転負けが尾を引いていたと言えるだろう。だが、負の流れから完全に解放されたのが6月。特に主砲の
大山悠輔の打撃が好調になってから上昇気流を描いた。5月は
青柳晃洋をはじめとする先発陣が頑張り、6月に入ってもそのまま好調の中、大山の大爆発。6月はここまで10本塁打、29打点を挙げ、14勝5敗1分けという大幅な勝ち越しにも貢献。現在、3位・広島に2ゲーム差の4位だが猛虎はここからさらに加速する。
横浜DeNAベイスターズ
DeNAは今永を中心に先発陣で勝つ試合を増やしたい
5位・DeNA 35点
今季ワーストの借金9。Bクラスであえぐ最大の理由は、先発投手のパフォーマンス不足だ。ケガ人や新型コロナ陽性者はすべて合流。にもかかわらず、先発投手が試合をつくれない。交流戦が終わって、リーグ戦再開9試合で先発投手が6回を投げ切った試合は2試合と頼りない。ここまでの先発平均投球回数5.3回、QS達成率37.3%は断トツでリーグワーストだ。今季は序盤に先制点を許すと、それをはじき返す打線の反発力もない。開幕3カ月で投打がかみ合った試合は少なく、採点は35点とした。先発ローテーションを整備するにも、ファームから上げられる投手もおらず厳しい状態が続く。現有メンバーの調子が上がるのを待つしかない。
中日ドラゴンズ
苦しむ中日だが立浪監督に新たな一手はあるのか
6位・中日 30点
期待が大きかった分、失望もまた大きい。6月25日の阪神戦(甲子園)に敗れてリーグ最速の40敗。翌26日の同カードも延長11回の末に敗れ、71試合を終えて30勝41敗と最下位に沈んでいる。最大で3あった貯金は借金11にまで膨れ上がった。序盤は投打のバランスがかみ合っていたものの、徐々に失速。痛かったのは交流戦を挟んでの7連敗、そして交流戦最終週の6連敗だろう。とにかくチャンスで打てない。貧打線は想定内だったものの、あまりにも勝負弱さが目立つ。自慢の投手陣にも疲れが見え始め、競り負けと大敗が続くようになった。幸いにも3位以下はダンゴ状態。それでも「その前に自分のところの野球をしないと」と
立浪和義監督。日替わり打線で四苦八苦の状態が続いているが、ロースコアの僅差をものにして少しずつ巻き返していきたい。
写真=BBM