歴代1位はシーズン5本

村上の満塁弾のペースは驚異的だ
中盤戦にかけて手がつけられない状態になった
ヤクルトの
村上宗隆。三冠王をはじめ数々の記録更新が期待されるが、その一つが満塁本塁打だ。2019年から昨年まで毎シーズン1本ずつをマークしてきたが、今季は6月23日の
中日戦(バンテリン)で早くも4本目の満塁弾を放っている。シーズン4本は歴代2位タイ。上には1950年に5本を放った
西沢道夫(中日)しかいない。つまり日本記録まであと1本に迫っているということだ。ちなみに5月6、7日の
巨人戦(東京ドーム)で2試合連続満塁本塁打を放ったが、連続試合満塁本塁打の「2」はやはり歴代1位タイの記録となっている。
今季はヤクルト打線自体が好調なので満塁で打席が回ってくる機会が多いのかと思えば、そうでもない。昨季も満塁で22打席あり、打率.389とよく打ったが満塁本塁打は1本だけ。今季はシーズンの半分強が終わった7月14日時点で満塁では11打席とペースは変わらないが、11打数6安打で打率.545、6安打のうち4本が満塁弾と、単純に満塁でのバッティングの精度、すごみが増したということだろう。
ざっくりとした計算だが、あと10打席は満塁でのチャンスが巡ってくるはずで、四死球がなければ10打数。前回もお伝えした本塁打1本あたりに要する打数を示す本塁打率は9.57なので、10打数あれば1本は本塁打が出るはず。日本記録に並ぶことは固く、日本新の6本も十分に現実目標だろう。
満塁本塁打といえば
西武の
中村剛也だ。シーズン満塁本塁打4本を15年と19年の2度記録しており、通算満塁本塁打22本は世界のホームラン王である
王貞治(元巨人)の15本をはるかに上回っている。ランキングの3位タイには代打満塁本塁打4本を記録した元阪急・
オリックスの
藤井康雄、5位タイにはプロ初打席満塁本塁打という衝撃デビューを飾った「満塁男」の
駒田徳広(元横浜ほか)、現
ロッテ監督の
井口資仁(元ロッテほか)と、通算本塁打数ではやや見劣りするものの無類の勝負強さを誇った男たちの名前が並んでいるのは味わい深い。
村上は通算では7本だが、5年目で通算本塁打は134本。中村が21年目で442本塁打のうち22本であることを考えれば、いずれこの通算満塁本塁打の記録でもトップを狙えるかもしれない。ちなみに現役で中村に次ぐのはヤクルト・
山田哲人の9本、
楽天・
浅村栄斗と今季1本打った巨人・
中島宏之の8本、村上の7本はそれに次ぐ4位タイだ。村上は今季、あと何本のグランドスラムをマークするのか。満塁での打席には、これまで以上に目を凝らしていきたい。
写真=BBM