残り40試合勝率ベスト5
残り40試合でも驚異的な強さを発揮して頂点に立った16年の広島
ペナントレースも残り40試合前後と詰めの段階に入っている。優勝を狙うチームにとっては大事な時期。特に2007年に両リーグでクライマックスシリーズが導入されてからは、優勝以外にもAクラス争いも激化する時期でもある。
その2007年以降、残り40試合の勝率ベスト5とワースト5を検証してみた。
◎ベスト5
1位 2016年 広島 30勝10敗 勝率.750(優勝)
オールスター前には2位・
巨人に10ゲーム差をつける独走態勢だったが、残り40試合(8月6日)となった時点では巨人に4.5ゲーム差まで縮められていた。しかし、そこから持ち直し8月14日から6連勝。残り27試合(8月23日)でマジック20が点灯。12試合を残した9月10日に25年ぶりのリーグ優勝を決めた。8月には
菊池涼介が打率.358で月間MVPを獲得。残り40試合で
クリス・ジョンソンが5勝をマークした。
2位 2008年 巨人 29勝10敗1分 勝率.744(優勝)
この年は
阪神が開幕から絶好調で、7月9日時点で2位・
中日、3位・巨人に13ゲーム差をつける大独走。しかし急ブレーキが掛かり、残りを31勝36敗と5割を切る勝率。巨人は残り40試合(8月17日)でも7ゲーム差をつけられていたが、そこから大きく加速。9月11日から12連勝(1分け挟む)し、大逆転優勝を決めた。9月には
小笠原道大が8本塁打、25打点、打率.391で月間MVPを獲得。残り40試合で
セス・グライシンガー、
上原浩治、
山口鉄也が5勝をマーク。
3位 2018年
ソフトバンク 29勝11敗 勝率.725(2位)
8月11日には47勝48勝1分と3位ながら借金1。そこから優勝候補1番手の意地を見せ猛追。8月17日から9連勝するなど快進撃を見せ9月12日時点では首位・
西武に3ゲーム差まで迫った。しかし西武も9月14日から12連勝するなど、残り40試合を27勝13敗、勝率.675で勝ち進みソフトバンクを振り切った。
4位 2011年 西武 26勝10敗4分 勝率.722(3位)
7月1日から5連敗し最下位に転落すると12日からも9連敗。8月も9勝12敗3分と負け越し、32年ぶり、西武となってからは2度目の最下位もちらついた。しかし残り40試合となった9月1日からチームがまったくの「別物」になる。14日から12連勝(2分け挟む)するなど、その月は19勝5敗2分け。最終的には3位に食い込みクライマックスシリーズにも進出。
5位 2009年 巨人 28勝11敗1分 勝率.718(優勝)
中日とツバ競り合いを演じていて、8月5日(残り51試合)時点では1ゲーム差しかなかったが、8月25日、9月21日からの中日3連戦を3連勝し直接対決6連勝で一気に優勝を決めた。中日の残り40試合は19勝21敗、勝率.475だった。8月には
アレックス・ラミレス、9月には
阿部慎之助、
内海哲也がそれぞれ月間MVPを獲得。
残り40試合勝率ワースト5
◎ワースト
1位 2011年
ロッテ 9勝27敗4分 勝率.250(6位)
前年ペナントレース3位からクライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズでも中日を破り「最大の下克上」で日本一となったロッテ。この年はソフトバンクが独走し2、3位争いが注目された。残り40試合(8月30日)では5位とはいえ、3位の
楽天とは1.5ゲーム差。十分に連続下克上のチャンスはあったが、9月に入り大失速。
1位 2017年
ヤクルト 10勝30敗 勝率.250(6位)
2年前の2015年はリーグ優勝を果たしたものの、この年は6月以降最下位に定着。特に残り40試合では10勝しているものの連勝は一度もなかった。
3位 2008年 ソフトバンク 10勝27敗3分 勝率.270(6位)
残り40試合(8月13日)時点では首位・西武に5.5ゲーム差をつけられていたが2位で、直接対決次第では首位も狙える位置につけていた。ところが8月29日からの西武戦3連戦をすべて引き分け。これで力を使い果たしたのか、以後6勝21敗。最終戦では負けたほうが最下位という楽天戦でサヨナラ負けし、12年ぶり、ソフトバンクとしては唯一の最下位。
4位 2021年 巨人 9勝24敗7分 勝率.273(3位)
残り40試合(9月3日)時点では52勝38敗13分、2位・阪神にゲーム差なしの1位。優勝した3位・ヤクルトには1.5ゲーム差と三つ巴の優勝争いを演じていたが、その後3連勝すらできず大失速。最終的に借金1だったが、辛うじて3位に食い込んだ。
5位 2018年 ロッテ 11勝29敗 勝率.275(5位)
残り40試合(8月18日)時点では3位・ソフトバンクに3.5ゲーム差でAクラス入りのチャンスがあったものの負けが込み、最終的には最下位・楽天にわずか1ゲーム差だった。
これを見ると8、9月の戦い方では戦い方で大きく順位は変わってくる。セ・リーグはまだ大逆転優勝の可能性があるし、パ・リーグは5球団に優勝のチャンスがある。
文=永山智浩 写真=BBM