文武両道を体現して

筑波大・清水は日体大との開幕カードで勝ち点奪取に貢献した
【9月5日】一部リーグ戦
筑波大4-3日体大(延長10回)
(筑波大2勝1敗)
「これまでは個人成績のことを気にすることもあったのですが、今はヒットを欲しがりすぎず、フォアボールでもデッドボールでもいいので後ろへつないでいきたいと思っています。4年間、筑波大で野球をやってきて、筑波大のことが好きなので、このチームで勝ちたいという気持ちしかありません」
そう語ったのは、筑波大の主軸としてプレーしている清水大海(4年・日立一高)だ。高校時代は2年秋の茨城大会で4強入りし、茨城県の21世紀枠推薦校に選ばれ、翌春も県8強と好成績を残した。最後の夏は惜しくも2回戦敗退となったが、野球部を卒業後は猛勉強に励んだ。
「筑波大には高校の先輩もいましたし、自分が高3時の秋には明治神宮大会にも出場していて国公立のなかでも『強い』というイメージがありました。それで筑波大に入りたいと思い、トイレと食事の時間以外はずっと勉強していました」
こうした努力もあって一般受験で筑波大に合格。まさに文武両道を体現していると言える。
それから4年の時を経て、冒頭の「筑波大が好き」という発言に至るわけだが、その理由を「とにかく同期の人格が良い」と話す。「今季の開幕戦のときも、バッティング練習をやってから筑波を発ったのですが、早朝だったのにもかかわらず練習に付き合ってくれました。今、選手としてプレーしている4年生は10人しかいないのですが、選手を引退しても全力でサポートをしてくれているんです」
今年の筑波大のチームスローガンは「一心」だが、まさに「全員で勝とう」と奮闘しているという。
タイブレークの末、勝利
秋季リーグの第1週は日体大と対戦し、1勝1敗のタイで勝負は3回戦へ。試合はエース・
矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)を中1日で先発させてきた日体大が2点をリードする展開。しかし、筑波大は5回表に追いつき、なおも二死一、三塁の場面で三番の清水が打席へ。このチャンスで「矢澤投手は疲れている印象で、1戦目に先発したときよりもストレートが走っておらず、打てる可能性があると思っていた」と外角のストレートを逆らわずに弾き返し、三遊間を破る勝ち越しタイムリー。
その後、同点となり試合は延長タイブレークまでもつれこんだが、10回表に押し出し四球で貴重な1点を挙げた筑波大が4対3で日体大に競り勝ち。見事に開幕カードで勝ち点を挙げ「これまではなかなか勝てずに苦しい思いをしてきましたが、泥臭く戦うのが筑波大の野球ですしタフさは身に付いています」と接戦をモノにした清水は笑顔を見せた。
大学卒業後も社会人野球でプレーを続けることが内定しているという清水。大学ラストシーズンに向け「優勝して学生生活を終えたい」とチーム一丸となり、18年秋以来となるリーグ制覇を目指す。
取材・文=大平明 写真=BBM