センバツ出場は絶望的
主将・佐々木麟太郎[中央]がけん引する花巻東高は東北大会1回戦[対鶴岡東高、10月11日]で敗退した[左端は父である花巻東高・佐々木洋監督]
花巻東高には「岩手から日本一」というモットーがある。
今夏の甲子園。仙台育英高(宮城)が春夏を通じて東北勢初の全国制覇を遂げた。みちのくの悲願。大きな壁を乗り越えたわけだが、花巻東高が頂点を目指すことに変わりはない。
来春のセンバツ出場へ重要な資料となる秋季東北大会。来春のセンバツは第95回記念大会のため出場校が例年から4校増の36校。東北地区の一般選考枠は「2→3」に増枠される。
東北大会(山形県開催)には18校が出場し、10月10日に開幕した。決勝進出2校はセンバツ当確ライン。残り1枠は、準決勝敗退2校から比較検討で選出されるのが有力である。
岩手1位・花巻東高は山形2位・鶴岡東高との1回戦(10月11日)で敗退(3対8)。今春に続く、2年連続でのセンバツ出場は絶望的となった。高校通算93本塁打の主将・佐々木麟太郎(2年)は「三番・一塁」で先発出場も4打数無安打(2三振)に終わっている。
磨きをかけるオフシーズン
主将・佐々木の甲子園出場のチャンスは、来年夏のあと1回。これから長い冬に入るが、心技体、3つの大きなテーマがある。
まずは、体づくり。
花巻東高は昨秋の東北大会で優勝し、11月の明治神宮大会4強。出場が確実だった今年3月のセンバツ、また、将来を見据え、12月に「胸郭出口症候群」による両肩手術を受けた。
「強化期間」とするはずだった昨年のオフシーズンは、復帰への「調整」が優先となった。やむを得ない。佐々木は「なかなか、何もできなかった冬」と振り返る。だからこそ「一から積み上げ、見つめ直して基礎から体力をつくっていきたい」と意気込みを語る。
次に技術面。
佐々木には言うまでもなく、一発がある。相手バッテリーは長打を警戒してくる。そこで、ポイントとなってくるのが、確実性だ。
「心理状態、バランスを含めてうまくいっていない。(スイングしたボールが)ファウルになったりするので、1球で仕留めないといけない。磨きをかけるオフシーズンになる」
最後に、主将としての覚悟である。
「1年生から出させていただいている責任がある。チームで最も必要とされるプレーヤー、キャプテンを目指していく。いろいろなプレッシャーの中で、結果を残していく。今日の一戦で気づいた。誰から見ても、必要とされるバッターを目指して、レベルアップしていきたいです」
ゼロからのスタート
自身初の甲子園となった今春のセンバツは市和歌山高との1回戦で敗退。2年生・佐々木は4打数無安打に終わった。今夏は盛岡中央高との県大会準決勝で敗退した。チームリーダーとなったこの秋は県大会を制するも、東北大会では力を出し切れなかった。
「花巻東として『日本一』という目標がある中で、それに届かなかった。大きな1年だったと思います。甲子園をかけた大会は、残り1回。花巻東というチームを作り直し、最後の大会、必ず、皆で目標を達成できるようにすべてを変えて、ゼロからスタートしていく」
183センチ117キロ。どんな姿になって来春、グラウンドに戻ってくるのか。2022年秋、佐々木は多くの教訓を得た、荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがたをあとにした。
写真=川口洋邦