金田は56年から3年連続受賞

山本は来季、3年連続沢村賞の偉業に挑む
今シーズンの沢村賞は
オリックスの
山本由伸が2年連続で受賞した。先発投手にとって最高の栄誉である沢村賞が制定されたのは1947年。50年の2リーグ分立後はセ・リーグの賞だったが、89年からパ・リーグにも拡大された。2年連続での受賞は2017、18年の
巨人・
菅野智之以来6人目で、パでは初となる。
そこで今回はこれまでの沢村賞の複数回受賞者を見ていこう。過去に複数回受賞しているのは14人、山本は15人目だ。最多受賞は3度で名古屋・
中日の
杉下茂、国鉄の
金田正一、
阪神の
村山実、巨人の
斎藤雅樹の4人。中でも金田は56年から唯一となる3年連続受賞を果たしている。山本は来季、金田の3年連続に挑む挑戦権を手にしたわけだ。
沢村賞には以下の選考基準がある。
■登板数/25試合以上
■完投数/10試合以上
■勝利数/15勝以上
■勝 率/6割以上
■投球回/200投球回以上
■奪三振/150個以上
■防御率/2.50以下
近年は投手の分業制がさらに先鋭化しており、特に「200投球回」と「10完投」はかなりハードルが高い。今季の山本もクリアした基準はそれ以外の5つだ。それだけに18年に全項目をクリアした菅野はすごかった。
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基本的には1人が選ばれるため、中には基準全項目をクリアしていながら受賞できないということもある。それを2度も経験しているのが08年と11年の
日本ハム・
ダルビッシュ有(現パドレス)だ。08年に受賞した近鉄の
岩隈久志は一つ基準を満たしていなかったものの、ダルビッシュの16勝に対して21勝で最多勝に輝いたのが効いた。11年のダルビッシュは18勝、防御率1.44をはじめ圧倒的な成績を残したが、同じく全項目をクリアして19勝、防御率1.27だった
楽天の
田中将大に競り負けている。
結局、ダルビッシュが沢村賞を受賞したのは、やはり全項目をクリアした07年の一度だけだが、巡り合わせが変わっていれば歴代最多タイの3度となっていたかもしれない。
確かに投球回や完投数をはじめ選考基準を見直すべき時期に来たという声はあるが、過去の大投手だけでなく田中やダルビッシュ、菅野といった現役投手が全項目クリアを成し遂げているのも事実。あらためて選考基準に目を凝らしながら来季の沢村賞争い、山本の3年連続受賞の行方を見ていくのも面白いだろう。
写真=BBM