アメリカは「最強軍団」

今季も投打二刀流でメジャーを席巻した大谷
「侍ジャパンシリーズ2022」でオーストラリアと対戦した侍ジャパン。
栗山英樹監督が率いるメンバーはグッと若返った。投手陣は
佐々木朗希(
ロッテ)、
高橋宏斗(
中日)、
宮城大弥(
オリックス)、
大勢(
巨人)が名を連ねる。野手も
牧秀悟(
DeNA)、
塩見泰隆(
ヤクルト)、
佐藤輝明(
阪神)、
中野拓夢(阪神)らが来年3月に開催されるWBC出場に向け、アピールしようと必死だった。
WBCは今回が5回目の開催となる。侍ジャパンは2006、09年と連覇を飾ったが、13、17年の大会はともにベスト4で敗退。今大会も厳しい戦いが予想される。WBC2連覇を狙うアメリカ代表はマイク・トラウト(エンゼルス)が主将に就任。トレイ・ターナー(ドジャース)、J.T.リアルミュート(フィリーズ)、ポール・ゴールドシュミット(カージナルス)、ノーラン・アレナド(カージナルス)、ブライス・ハーパー(フィリーズ)らメジャーを代表する選手たちの出場も決まり、「最強軍団」が優勝候補の筆頭とされている。
侍ジャパンで注目されるのは、
大谷翔平(エンゼルス)の動向だ。今季は投手で15勝9敗、防御率2.33、野手では打率.273、34本塁打、95打点の好成績を残し、リーグMVP最終候補に選ばれている。阪神の
岡田彰布監督はメジャーのシーズン終盤だった10月上旬に、週刊ベースボールのコラムでこう綴っている。
「彼が打つたびに、投げるたびに、野球界の、メジャーの歴史が変わっていく。それほどの1年だったような気がする。そもそも大谷の何がすごいって、“やってること”が超人的過ぎるわけ。野球を経験した人には分かると思う。投げる、打つ。これを最高のレベルの舞台でやってのける。もう信じられない世界よ」
「引退を発表した糸井(
糸井嘉男)も投手で入団し、その後、野手に転向。それでここまでの成績を残したわけで、努力や苦労は相当やったと思うし、称賛に値するプロ人生やったと思う。あの糸井でも投手か野手か、を決め、二刀流の選択はなかった。それを当たり前のようにこなす大谷のすごさ。こういう選手は二度と出てこない。残りわずかになって大谷は未踏の記録に挑む。打者として規定打席に到達(すでにクリア)。投手として規定投球回数にあとわずかに迫っている。この挑戦こそが大谷が目指していたものだったのか。どちらかの部門において、突出した数字を残せるかもしれないが、投打でそれを成し遂げる。これがいかにえげつないものか。あらためて大谷の時空を超えた能力に、驚嘆するばかりだ」
調整段階で大きな負荷が

打撃では今季、34本塁打をマークした
大谷自身はWBC出場に前向きな姿勢を示しているが、注目されるのは起用法だ。
スポーツ紙記者は「投打の二刀流で注目度が高いが、シーズンに向けて例年なら調整段階の3月上旬に先発登板させるのは体に大きな負荷がかかる。短いイニングの抑えなら考えられるが、基本的には指名打者で打撃に専念するのではないでしょうか。四番の
村上宗隆の前後を打つクリーンアップで頼もしい存在ですが、足が速いので一番打者でチャンスメークもできる。相手チームからしても初回にいきなり大谷が打席に立つのは厄介でしょう」と分析する。
世界の頂点へ。大谷が侍ジャパンに加われば、大きなプラスアルファになることは間違いない。
写真=Getty Images