坂倉がどうリードの引き出しを増やすか
本人の希望もあり、広島・
新井貴浩監督が坂倉将吾をキャッチャーに専念させると断言した。彼はもともと捕手登録だが、ほかに
會澤翼という強打の正捕手がいる。昨年は
佐々岡真司前監督がサード、ファーストも守らせながら、彼の首位打者を狙えるバッティングを生かそうとした。
坂倉を捕手専念とするのはいいと思う。打撃もよく、若い坂倉で正捕手が固まれば、長期的に考えてもチームの戦い方が安定する。
一つ注目は會澤の使い方かな。ベテランにはなったが、彼の捕手力、打撃力ともまだまだチームには欠かせない。チームリーダーとしても試合に出ているかいないかで、周囲に与えるオーラが違うからね。
捕手の併用は投手によって分けるのか、試合の中で分けるのかがある。最初は打撃優先の捕手で、終盤は巧みなリードのベテランのイメージがあるかもしれないが、投手出身者から言うと、優先すべきはバッテリーの相性だ。今はデータはベンチが準備してくれるから、昔以上に投手の良さをいかに引き出すかが大事になる。
カープの捕手2人はリードのタイプが違う。會澤はオーソドックスだ。組み立てがうまく、コースにちりばめて追い込んでから勝負に行く。逆に坂倉はインコースをぐいぐい攻めるリードがうまい。
ただ、完全な併用なら、それに合わせて投手を分担させるのも手だが、おそらく新井監督は7、3、いや8、2くらいで坂倉をメーンにするはずだ。そうなると、ここからキャンプ、オープン戦で、坂倉がリードの引き出しをどう増やしていけるかがカープの2023年の戦いのカギにもなってくる。
そうは言いつつも「愛情を持ちながら時に非情に」が新井カープだ。結果が出なければ、再び會澤をメーンにしてくる可能性もある。坂倉にとって、気の抜けないシーズンになることは間違いない。
大きいのが、酸いも甘いもかみ分けた
石原慶幸コーチの存在だね。彼のノウハウを坂倉に注入することで、カープのバッテリーの完成度が間違いなく上がるはずだ。
写真=BBM