県大会初戦で貫録の投球

横浜高のエース左腕・杉山は侍ジャパンU-18代表候補に挙がるサウスポーだ
2019年に国際大会対策研修合宿が開催されて以来、4年ぶりに高校日本代表候補の強化合宿が奈良県内で実施(4月4~6日)された。横浜高からは左腕・
杉山遙希(3年)と、主将の遊撃手・
緒方漣(3年)が参加した。
神奈川に戻ったのは、6日夕方。横浜高は中2日で法政二高との県大会初戦(8日、2回戦、サーティーフォー保土ケ谷球場)を迎え、4対1で勝利し、3回戦へ駒を進めた。
野手は木製バットを使用し、調整は難しかったはずだが、不動の一番・緒方はフル出場。2安打2得点と持ち味のアグレッシブなプレーを披露した。一方、1年夏から背番号1を着ける杉山は、2対1の4回表から、先発の右腕・青木朔真(2年)を受けた2番手としてリリーフのマウンドへ。6回4安打無失点、9奪三振と貫録の投球を見せている。
「初戦なので、本来は杉山で行かないといけないんですが……。青木は練習試合では良い投球をしていましたが緊張感、プレッシャーがかかったところで経験を積ませたかったんです。頭部死球を与え、相手校さんには申し訳ないことをしましたが、彼なりに投げてくれました。杉山は疲れもありましたが、しっかり準備して、6回をきっちり投げました」(村田浩明監督)
昨秋に比べて、明らかに杉山の球威は上がっていた。この日はストレートで押す場面が多く見られた。空振りも多かった。また、同じ腕の振りから投じられるスライダー、チェンジアップと変化球の精度も抜群だった。対外試合解禁明けの3月、智弁学園高(奈良)との練習試合で、自己最速143キロを記録。成長は、力感だけではない。U-18強化合宿の計測では、参加者の中でもトップレベルの2500回転をマーク。俗に言う打者の手元で伸びるキレの良さを、数字で示したのである。
ネット裏のスタンドで視察した
ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスクは「腕を振れるのが魅力。スライダー、チェンジアップと器用さもある。楽しみがある」と評価した。
なぜ、球のスピードがアップしたのか。
「右足を上げてから、落としていくときに、左足(軸足)をねじって、地面を強く踏んで、反発を出すんです」(杉山)
活動拠点である長浜グラウンドでの冬場の下半身強化により、土台が安定。球速アップの一因に挙げられる。U-18強化合宿では「全国から見たら自分はまだまだなので、もっと上がっていきたい」と有意義な3日間を過ごした。かねてからライバル視してきた大阪桐蔭高の左腕・
前田悠伍と同じ時間を過ごし、刺激を受けた。杉山は名門・横浜高の背番号1を着けて3年目、集大成の夏に最高の結果を残すため、充実の春を過ごしている。
文=岡本朋祐 写真=大賀章好